ハイテクシステム
ボクシングのシステム化その一はカネロを例に挙げました。次はロマチェンコ。細部を捨像し、僕が重要だと感じる規則のみに焦点を当てています。
ロマのボクシングは
攻撃→防御→攻撃…
という風に、隙間のない秩序だったシステムになっています。
別の機会に譲りますが、ロマはこの流れで相手の攻撃に対してはカウンターを行います。
胸椎側屈回旋→前傾→様子見
ここから選択肢が分岐し
A.相手がロマの覗き見を嫌がって攻撃してきたら、すかさず身を引いてカウンター
B.相手が出てこなければそのまま手を伸ばしてパンチ
C.ミスしたらすかさずガードを固めて後ろへ歩く
大雑把にはこんなシステムです。今回のショート動画はパターンB。
前傾姿勢からの次への分岐が最小限に抑えられている故にミスが少ないと考えることもできます。トライアル&エラーサイクルをぶん回せるので、早回しで情報収集→改善→対応が起こります。
また、タイソンやパッキャオが分かりやすいですが、大腰筋の収縮で上半身を股関節に強く押さえつけられるから、無駄なく体重移動の運動エネルギーをハムケツの弾性エネルギーへ変換でき、それを用いてパンチを強振か、あるいは飛び込んで距離を詰めての連打へ繋げられます。
タイソンの攻撃⇆防御が一体として機能しているのは分かりやすいと思います。
今後はロマ、タイソン、パッキャオなど、時間を見つけて彼らのボクシングシステムの言及に挑戦してみます。
カネロやタイソンの記事で示したように、前後の動きに見えて、実際には胸椎の回旋側屈、すなわち横の動きが主体です。
相手のパンチングレンジの外へ出ながら、かつ自分は高いエネルギーを持つ姿勢へ移行できます。
投擲や走動作も抽象するなら同じです。
システムの核
一流の動きから打法やスタイルなどの細部を捨像し、要点だけを抽出するなら、胸椎の動きに着目できます。
この、一流に見られる共通した動きと符合する筋肉は大腰筋です。大腰筋(≒腸腰筋)の太さが必然的に一流のボクシング技術を導くとする仮定は、アスリートは常人の3倍の腸腰筋を持つとの事実とも整合的です。
以上から、ボクシング、ひいてはスポーツの技術は骨格の構造により必然的に導かれいる、と推理することは妥当に感じます。
対偶をとるなら、一流と前提を共有していないのなら、上手くならんと、すなわち練習は時間と体力の無駄であると。
この結論は日本全国で共有されているであろうボクシングの常識へ、一つの重大な示唆を与えてくれると思いませんか。
コメント