大腰筋パンチ
今回は技術的な視点から恐怖を考えます。

ワイルダーの大腰筋パンチは頭が横へズレます。動く的を狙うのは、止まった的にそうするよりも困難です。
従って、ワイルダーの打法(≒大腰筋パンチ)は相打ちの確率を下げると考えられます。
あなたは「相打ちが絶対に起こらない世界」なら、躊躇なくフルスイングできるはずです。
すなわち、大腰筋パンチは相打ちの確率を減らし、踏み込みの恐怖を軽減すると言い換えられます。
また、フルスイングする相手に相打ちを狙うのは大きな恐怖が伴います。
よって、大腰筋パンチは自己強化的に相手のカウンターに狙われる確率を下げます。また、繰り返す毎にボクサーに自信を深めさせて踏み込みの恐怖を漸減させると考えられます。
恐くないから強く振れる。それが成功したから次も強く振れるの自己強化。
以上は
恐くないから強く振れる⇄強く振れるから恐くなくなる
つまり、攻撃⇄防御
の自己強化とみなせます。
対偶は
大腰筋パンチでない⇄恐い
の悪循環です。

合理的な技術は合理的な技術を、非合理的な技術は非合理的な技術を引き寄せる自己増殖構造があります。
投擲パンチ
投擲パンチは、右股関節への荷重を起こして体の推進力を高めます。
かつ、この場合は必然的に打者の頭は相手の射程から遠ざかります。
相手の射程の外なら恐くありません。
よって、投擲パンチは踏み込みの恐怖を軽減する形とみなすことができます。
加えて既述のように推薦力も高い、
これも大腰筋パンチのような
攻撃⇄防御
の自己強化になっています。


以上のように、踏み込みの恐怖を技術的な視点で解釈できれば、それにアプローチできます。試行錯誤すればきっと改善の余地を生み出せます。
井上尚弥の対サウスポー


右対左の場合、右の選手は進行方向にある相手の右手にプレッシャーを感じます。
よって、右が左と戦う場合は、上の井上尚弥のようにすると精神的に楽です。相手のカウンターの確率を下げられますので。
踏み込みの精神的な重圧を低減させることは、体の緊張を解き、それに伴うミスの確率を下げます。
それは自己強化的に踏み込みを鋭くして、相手のカウンターを困難にします。
一流にはこのような自己強化、自己増殖構造があると考えられます。
三流には逆。恐いから恐くなる、下手だから下手になる自己強化。
自己強化の変数としては様々なものが考えられますが、あなたの認識(≒技術観)が、もしかしたら、負の自己強化の説明変数になっているかもしれません。
例えば「膝を曲げる」などは典型的な負の自己強化構造です。
「踵を上げる」「無条件に年長者(指導者)を尊敬させる」「ストレート原理主義」もそう。
そのような矛盾した技術論を疑いもなく語れるような境境があなたを強くすることはないでしょう。むしろ、あなたの足を引っ張ってきます。緩やかな自殺なので、さっさと退散しましょう。
論理的な判断ができる人なら、自分に損をさせる場所からは即逃げます。あなたは逃げられてますか。
逃げる度胸、戦う度胸のない腰抜けは死ぬまで搾取され続けます。

不安や恐怖の原因は、あなたにではなく、環境にあるかもしれません。


技術観に原因を求める
指導者が自らの技術観を疑わずに、指導するボクサーの生まれながらの性質に「臆病さ」の原因を見いだしたり、あるいは、自分が自分の生まれながらの性質に「臆病さ」の原因を見いだしたり。
※だから発展しない
そうかもしれませんが、そんなことをしたら不幸になるだけですよね。
「こうかもしれない」と、自分以外の、かつ自分の影響力が及ぼせる範囲に原因を求める。そして改善させる。
それが楽しいし、建設的な生き方です。

「誰それが悪い」は簡単です。バカでもできる。というか、バカがそれしかやらない。
あなたや誰かの問題を技術や制度の設計に落とし込めたら、みんな幸せになります。
結論。恐怖や不安との戦い方がある。自分を責めたり、闇雲にやると何も改善しないどころか不幸になる。
恐怖や不安を支配下におけば頼もしい仲間になる。





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