恐怖や不安の殴り方 その三

メンタル技術

大腰筋パンチ

今回は技術的な視点から恐怖を考えます。

ワイルダーのワンツー

ワイルダーの大腰筋パンチは頭が横へズレます。動く的を狙うのは、止まった的にそうするよりも困難です。

従って、ワイルダーの打法(≒大腰筋パンチ)は相打ちの確率を下げると考えられます。

あなたは「相打ちが絶対に起こらない世界」なら、躊躇なくフルスイングできるはずです。

すなわち、大腰筋パンチは相打ちの確率を減らし、踏み込みの恐怖を軽減すると言い換えられます。

また、フルスイングする相手に相打ちを狙うのは大きな恐怖が伴います。

よって、大腰筋パンチは自己強化的に相手のカウンターに狙われる確率を下げます。また、繰り返す毎にボクサーに自信を深めさせて踏み込みの恐怖を漸減させると考えられます。

恐くないから強く振れる。それが成功したから次も強く振れるの自己強化。

以上は
恐くないから強く振れる⇄強く振れるから恐くなくなる

つまり、攻撃⇄防御
の自己強化とみなせます。

対偶は
大腰筋パンチでない⇄恐い
の悪循環です。

対偶の証明
対偶について。対偶はA→B⇔¬B→¬A 対偶の自然演繹 定義 【対偶】命題「AならばB」の対偶は「BでないならばAでない」である。 論理記号として「ならば (⇒\Rightarrow )」および否定 (¬\neg ) を用いると、命題$\d...

合理的な技術は合理的な技術を、非合理的な技術は非合理的な技術を引き寄せる自己増殖構造があります。

投擲パンチ

投擲パンチは、右股関節への荷重を起こして体の推進力を高めます。

かつ、この場合は必然的に打者の頭は相手の射程から遠ざかります。

相手の射程の外なら恐くありません。

よって、投擲パンチは踏み込みの恐怖を軽減する形とみなすことができます。

加えて既述のように推薦力も高い、

これも大腰筋パンチのような
攻撃⇄防御
の自己強化になっています。

カネロの踏み込み
踏み込み動作⇒投擲動作
長岡嶺インスタグラム

以上のように、踏み込みの恐怖を技術的な視点で解釈できれば、それにアプローチできます。試行錯誤すればきっと改善の余地を生み出せます。

井上尚弥の対サウスポー

井上尚弥のサウスポーとの戦い方
二軸打法
井上尚弥のサウスポーとの戦い方

右対左の場合、右の選手は進行方向にある相手の右手にプレッシャーを感じます。

よって、右が左と戦う場合は、上の井上尚弥のようにすると精神的に楽です。相手のカウンターの確率を下げられますので。

踏み込みの精神的な重圧を低減させることは、体の緊張を解き、それに伴うミスの確率を下げます。

それは自己強化的に踏み込みを鋭くして、相手のカウンターを困難にします。

一流にはこのような自己強化、自己増殖構造があると考えられます。

三流には逆。恐いから恐くなる、下手だから下手になる自己強化。

自己強化の変数としては様々なものが考えられますが、あなたの認識(≒技術観)が、もしかしたら、負の自己強化の説明変数になっているかもしれません。

例えば「膝を曲げる」などは典型的な負の自己強化構造です。

「踵を上げる」「無条件に年長者(指導者)を尊敬させる」「ストレート原理主義」もそう。

そのような矛盾した技術論を疑いもなく語れるような境境があなたを強くすることはないでしょう。むしろ、あなたの足を引っ張ってきます。緩やかな自殺なので、さっさと退散しましょう。

論理的な判断ができる人なら、自分に損をさせる場所からは即逃げます。あなたは逃げられてますか。

逃げる度胸、戦う度胸のない腰抜けは死ぬまで搾取され続けます。

膝が曲がる その九
歩き打ち 腸腰筋が太い場合はカネロやメイウェザーのように構造的に脚が伸ばされる。 下の図の真ん中の骨格になる。大臀筋が大腿骨に巻き込まれて股関節の力が強められ、かつ膝関節は伸展位に固定されて (大腿四頭筋の短縮)伸展能力が弱まる。 すなわち...

不安や恐怖の原因は、あなたにではなく、環境にあるかもしれません。

技術の自己増殖と筋力の自己強化
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自信 = 自分の世界観を信じること
自信について。試合へ向けた葛藤で「自信とは何か」「自信の拠り所となる、己とは何か」について自問自答を繰り返しました。その過程でたどり着いた、心を軽くする長濱説をまき散らします。 世界観 = アイデンティティ 自信を持つには「自分が何者である...

技術観に原因を求める

指導者が自らの技術観を疑わずに、指導するボクサーの生まれながらの性質に「臆病さ」の原因を見いだしたり、あるいは、自分が自分の生まれながらの性質に「臆病さ」の原因を見いだしたり。
※だから発展しない

そうかもしれませんが、そんなことをしたら不幸になるだけですよね。

「こうかもしれない」と、自分以外の、かつ自分の影響力が及ぼせる範囲に原因を求める。そして改善させる。

それが楽しいし、建設的な生き方です。

他人にはできないことが自分だけにはできるかもしれない
トレーニングの問い合わせ

「誰それが悪い」は簡単です。バカでもできる。というか、バカがそれしかやらない。

あなたや誰かの問題を技術や制度の設計に落とし込めたら、みんな幸せになります。

結論。恐怖や不安との戦い方がある。自分を責めたり、闇雲にやると何も改善しないどころか不幸になる。

恐怖や不安を支配下におけば頼もしい仲間になる。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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