
数学的帰納法
例題)1²+2²+3²+…x²=x(x+1)(2x+1)/6※1
x=1(仮定)
(1・2・3)/6=1(代入)
1²=1(代入)
1=1(同値関係)
数学的帰納法の第一段階完了。
次は第二段階。
※1がx任意のxに成り立つと仮定して式変形。
x(x+1)(2x+1)/6+(x+1)²∧(x=y+1)=(y+1)(y+2)(2y+3)/6
が成り立つことを証明する。
x(x+1)(2x+1)/6+(x+1)²(仮定)
x(x+1)(2x+1)/6+6(x+1)²/6(乗法逆元)
[x(x+1)(2x+1)/6+6(x+1)²]/6(結合法則)
(x+1)[x(2x+1)+6(x+1)]/6(乗法交換法則)
(x+1)[2x²+x+6x+6]/6(分配法則)
(x+1)[(2x²+7x+6)]/6(自然数加法)
(x+1)(x+2)(2x+3)(因数分解)
x+1=y(仮定)
y(y+1)(2y+1)/6(代入)
※1が任意のxに成立するなら、それはx+1おいても成立することが証明されました。
因数分解
上の証明の中で勝手に因数分解を使ってしまったので、その証明を載せます。
(x+a)(x+b)(仮定)
x²+bx+ax+ab(分配法則)
x²+(a+b)x+ab(分配法則)
(x+a)(x+b)→x²+(a+b)x+ab(→導入)
逆も真。よって
(x+a)(x+b)⇔x²+(a+b)x+ab①
(x + y)(x – y)(仮定)
x²-xy+yx+y²(分配法則)
x²+y(x-x)+y²(分配法則)
x²+y²(加法逆元)
(x + y)(x – y)→x²+y²(→導入)
逆元も真。よって②
x² – y² ⇔ (x + y)(x – y)
(x + y)²(仮定)
(x + y)(x + y)(べき乗)
x²+xy+xy+y²(分配法則)
x²+2xy+y2(加法)
(x + y)²→(x²+2xy+y2)(→導入)③
逆も真。よって3
(x + y)²⇔(x²+2xy+y2)
(x – y)²
(x-y)(x-y)(べき乗)
x²-xy-xy+y²(分配法則)
x²-2xy+y²(加法)
(x-y)(x-y)→x²-2xy+y²(→導入)④
逆と真。よって
(x-y)(x-y)⇔x²-2xy+y²
ベルヌーイの定理
任意の整数 r ≥ 0 と全ての実数 x ≥ −1 に対し、次が成立する。
$\displaystyle (1+x)^{r}\geq 1+rx\!$
指数 r が偶数の場合、この不等式は全ての実数 x に対して成り立つ。さらに厳しい条件のものとしては、任意の整数 r ≥ 2 と全ての実数 x ≥ −1 (ただし、x ≠ 0)に対し、次が成立する
$\displaystyle (1+x)^{r}>1+rx\!$
ベルヌーイの不等式は他の不等式を証明する際に重要な場面で用いられることがある。これは以下に示すように、数学的帰納法を使って証明することができる。
実数 x の正整数 n 乗は、素朴には、n 個の x を掛け合わせたものである。厳密には、次のように再帰的に定められる。
(∗)x¹:=x,(∗∗)xn+1:=xⁿ×x(n≥1).x0
を定義する場合には、関係式 (∗∗) が n = 0 でも成立するように定義を拡張するのが自然である。
n=1の場合。
∀x∈ℝx≧-1⇒(1+x)¹≧1+1x(仮定)
∀x∈ℝx≧-1⇒1+1・x≧1+1・x(乗法単位元)
n=1のば場合はベルヌーイの不等式は成立します。
次はnが成り立つなと仮定※1したn+1の場合。
∀x∈ℝx≧-1⇒(1+x)ⁿ≧1+nx(※1)
∀x∈ℝx≧-1⇒(1+x)ⁿ⁺¹≧1+(n+1)x(数学的帰納法仮定)
(1+x)ⁿ・(1+x)(べき乗∗∗)
(1+x)ⁿ・(1+x)≧(1+nx)(1+x)(※1代入)…☆1
(1+nx)・(1+x)=1x(n+1)+nx²(因数分解定理④とべき乗∗∗)
(1+x)ⁿ・(1+x)≧1x(n+1)+nx²(≧,=推移関係)

加法律引用WIIS
実数の加法律、乗法律、0<x⇒0<x²の定理より
1+x(n+1)+nx²>1+x(n+1)(加法律と乗法律)
(1+x)ⁿ・(1+x)≧1x(n+1)+nx²>1+x(n+1)(≧,=推移関係)
(1+x)ⁿ・(1+x)>1+x(n+1)(推移関係)
(1+x)ⁿ⁺¹>1+x(n+1)(べき乗∗∗)
n+1=n(仮定)
∀x∈ℝx≧-1⇒(1+x)ⁿ≧1+nx(ベルヌーイの定理)
以上より、ベルヌーイの定理が任意の自然数nにおいて成り立つことが証明されました。
補足
☆1は同値関係ではなく、≧関係により変形しています。
また、0<x,yの乗法においては乗法律より0<xyが成り立ちます、


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