大腰筋パンチと股関節ロック

上の記事の続き。
股関節ロックと大腰筋パンチの関係について考えていきます。
大腰筋右ストレート
下の動画は右ストレートがガードを無力化しています。

パンチで大腰筋の収縮が起こらない場合は、井上尚弥やワイルダー、クリチコのように相手のガードの間を通して顔面を殴れません。
相手の左腕に右ストレートの軌道は遮断されています。
大腰筋パンチではないストレートは簡単に防がれます。相手は左腕を上げていればいい。
股関節ロック
股関節ロックと斜め推進
股関節が強くロックされる場合は、大臀筋に強い張力が加えられ、その筋力を高めます。
大臀筋のに起因した股関節の外旋外転力は下の井上尚弥動画で示したように体を斜め方向へ推進します。
股関節ロックが弱い場合は前後(膝と足首)の動きが強調されビョンビョンします。


股関節ロックと膝関節の可動域
股関節が強くロックされる場合は斜め推進が起こるので、必然的に下のカネロのような脚の形で踏み込みの勢いは制止されます。
この場合は踏み込みの推進は斜め方向になりますから、膝関節は物理的に屈曲を抑制されます。

股関節ロックと腰椎の回旋側屈
すなわち膝の屈曲と後述する股関節の屈曲が抑制されるので、体の前への突っ込みが抑制されます。
この場合は踏み込んだ勢いと重力は膝を曲げる代わりに胸椎を折り曲げます。すなわち胸椎の回旋側屈を起こします。
カネロはそれが分かりやすい。

胸椎側屈回旋かつ肩甲骨平面内での打撃
股関節ロックに伴う胸椎の側屈回旋は下のメッシが接地した場面が分かりやすいと思います。
膝関節の屈曲を抑制する方向に股関節が折りたたまれているために、重力と慣性は胸椎を押しつぶします。
押しつぶされた上半身はさらに強く床を踏ませ、床反力とハムケツの筋力を高めます。つまり動きを高速で切り返すのを助けます。メッシのスタイルと整合的。
マイケル・ジョーダンが予備動作を殆どとらずに爆発的な跳躍を行えるのは、股関節ロックにより、走りの勢いを制止したエネルギーが骨格内を循環し、跳躍のされに利用されるからでしょう。
股関節ロックとハムケツ
股関節による斜め推進を制止するのは接地した脚の大臀筋です。
下の瞬間の左大臀筋のSSCは、体の前進を急停止させます。
体幹へ加えられる慣性力と床反力の偶力が右腕を急加速させます。
大臀筋は股関節の伸展の作用も起こしますから、頭が相手の方へ突っ込む(股関節屈曲)のを抑制します。
従って比較的安全な位置からパンチできます。
股関節ロックと大腰筋パンチ
以上が股関節ロックと大臀筋パンチの間にある関係の推理。股関節ロック⇒大腰筋パンチ、は因果関係である可能性があります。
股関節ロック→斜め方向への推進→膝関節屈曲の物理的な抑制かつ股関節屈曲の抑制→重力と慣性力による胸椎の側屈(≒大腰筋パンチ)
股関節ロックに寄与する腸腰筋には大腰筋が含まれていることは、以上の推理と整合的です。
冒頭の井上尚弥やワイルダー、クリチコのワンツーを起こす実体。
下のボクサーも左脇腹の収縮で角度を創造しているのが分かります。



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