
上の記事の続き。

長岡のパンチを修正する過程です。
「パンチは投擲である」が分かりやすいと思います。
折り重ねられたような大胸筋のねじれは、投擲物をリリースする直前の「握り」と「腕の形(肘の直角腱固定)」で、その筋力を最大化する為の構造であると考えられます(大谷翔平の場面)。
肩の軸に加えられた投擲物と腕の重さの慣性力は、上腕の外旋、前腕の回外、肩の水平外転を起こすモーメントへ変換されます。
単純化するなら、下の図のような、腕を背中側へ巻き込もうとする力が、リリース直前に肩と胸の筋腱へ加えられるだろうと推察できます。

大胸筋上部は下向き、中部は平行、下部は上向きに線維が走るのとも整合的です。
投擲物のリリース直前、大胸筋上部は慣性力に伴う上腕の外旋力によりそれへ巻き込まれ、かつ中部と下部は水平外転力に引き伸ばされてSSCが起こります。
筋肉は収縮時は引き伸ばされた方向とは逆に力を発揮しますから、必然的に上腕は水平内転と内旋、前腕は回内で腕をねじ込むような動作を起こします。恐らくは長軸を持つ槍へジャイロ回転を加える為でしょう。
以上が所謂コークスクリューパンチの破壊力の説明としては妥当だと考えられます。
大胸筋は下の場面を含意した構造になっており、それをそのまま使うからコークスクリューパンチは強い、と言えます。
すなわち、腕をねじるから強く打てる、よりむしろ、生まれつき強い奴のパンチが必然的にねじられる、です。
弱者視点でそれが解釈され、歪んだ世界観を形成してしまっていますが、あえてパンチを定義するなら、コークスクリューパンチこそがパンチ。
特殊な技ではなく、むしろ、それを特殊な技と解釈している現状がおかしいと言えます。

リリース時の手首の回内

肩甲骨ロックが弱い場合は胸が開いて、慣性力により加えられる大胸筋への張力が弱まります。必然として体重移動が起こり強力な手打ちが起こせません。

長岡に冒頭の練習をさせたのは、彼が僕の定義する「肩甲骨ロック」を理解できていなかったからです。
彼はそれを理解し、かつできていると自覚していたようです。が、僕が上の動作で力を発揮させてみると、彼はそれが錯覚であったと理解しました。その時にようやく、彼は彼の認識していたパンチの”原理”と僕の認識するパンチのそれに差があることを心で感じられたようです。
一緒に練習している長岡ですら理解していませんでしたから、ブログやYoutubeで学んだ程度のあなたの理解は、僕の定義するそれとは程遠いと認識してください。
ダニングクルーガー効果に気をつけ、自分を妥協なく疑い続けてください。
それをしないとSNSで吠えるバカと同じレベルへ落ちます。自分の愚かさと弱さを認められない態度こそが地獄です。




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