ロシアンフックの打ち方

よもやま話技術運動理論
脇腹収縮投擲パンチ
パラエストラ天満長濱クラス

所謂「ロシアンフック」の構造を考えます。

ロシアンフック

ロシアンフックの条件。

前提条件
1.背屈ロック
2.ゲンコツ
3.肩甲骨ロック
4.大腰筋パンチ

1はテノデーシスアクションを導き手首から肘をロックします。

テノデーシスアクションは、木にぶら下がる猿だった時代の名残で、筋力ではなく構造的にぶら下がられるような仕組みだと推理できます。木登りで疲れていたら猿じゃない。

猿が木登りが得意なのはそのための設計が内臓されているから。

掌屈

背屈

背屈すると指は曲がり、掌屈すると握れません。猿はこれに木を握らせていると予想します。ハトが強風の中、延々と揺れる電線に掴まっていられるのも抽象すれば同じ仕組みが内蔵されているから。

構造に握らせているから彼らは疲れない。

小指と薬指は握られていません。背屈でバットを挟み込むように握り、肘は直角でロック。

ペンチを掴む時のような、親指と人差し指の握り。
かつ背屈ロックに伴う肘の直角ロック。

フェデラーも同じ。

これらの規則性は、彼らが独自にたどり着いたのではなく、後述するように必然として起こっている、と考えるのが妥当でしょう。

すなわち、一流アスリートの技術が一点に集約されるのは、彼らが同じ構造を共有しているから。

背屈ロック修正の過程
テノデーシスアクションによる背屈ロック

猿が木にぶら下がる仕組みは、後に進化の過程で投擲に応用されたと考えられます。

あなたは配膳の時、ないしは手提げカバンを持つ時には肘を直角にすると思います。それは構造的必然としてそうなります。教えられたのでも、調べたのでもありません。体が知っているからそうするのです。この論理は抽象的ですが、非常に有用だと感じています。

話を続けます。

先祖は投擲に生残価を見いだしたのでしょう。すなわち、骨格をそれに最適化した。二足歩行で猛獣に勝つなら、と考えることもできます。

赤ちゃんは生後間もなく、教えてもいないのに物を投げ始めます。

ソフトウェアのプログラムとハードウェアの構造が整合します。物を投げるように設計されているのでしょう。

であるなら、パンチは投擲の延長線上で構築しなけれならないはず。車をお風呂にする人はいませんよね。車は車として使うように作られており、それ以外の用途はそれを破壊する可能性すらあります。

背屈ロック

親指と人差し指で握るゲンコツ。それに伴い肘と手首がロックされ、かつ胸と肩が槍と腕の慣性力で後方へねじられているのが分かります。

大胸筋は上腕の付着でねじられています。

それと広背筋のねじれを合わせて考えるならば、投擲時に槍(長軸を持つ投擲物)にジャイロ回転をかける為の構造だと考えることができます。

すなわち、力学的に投擲物の軌道を安定させ、その飛距離を延ばすための構造です。

 

広背筋

2ゲンコツ≒親指人差し指中指の握り。中指を添えるだけ。

この形は恐らくは槍の握り。先祖は頻繁に槍を投げていたのでしょう。また、その成功確率が生存確率を大きく変動させた。

投擲動作の選別に強烈な淘汰圧があったと考えるのが妥当でしょう。

神(自然)は、なんとなく物を握った形が2になるように、そしてその握りが腕、肩、胸の筋肉の収縮力を橈骨へ効率的に伝えられるように設計した、と言い換えられます。

以上の構造を効率的に利用した場合、すなわちゲンコツと背屈で握った場合は、GGGのようなスイングになるはず。

一方で小指と薬指で握る場合はヘイニーのようなスイングになると考えられます。後者は日本人に多い形です。試してみてください。

前者がそうなるのは大胸筋に張力がかかりその筋力が高まるかつ広背筋に張力がかかるからで、結果的に動作の終盤で腕のねじれが強調されるから。

腕のねじれ

筋肉の収縮力が橈骨を伝う場合は肩甲骨のソケットと上腕骨が噛み合います。

この場合は肩甲骨平面内での加速が、それに伴い必然として二軸の加速が起こります。上のヘイニーとGGGの違いが分かりやすいと思います。内側で当てるヘイニー、外側で当てるGGG。

小指で握って腕相撲をした場合とゲンコツで握ってそうした場合の違い想像してください。前者は肩甲骨平面内での出力、すなわち大胸筋を主体とした二軸。後者は上腕二頭筋を主体とした肩甲骨平面外の出力(一軸)になるはず。

恐らくは、力の伝達経路が橈骨であるか尺骨であるかの違いが導いています。

二軸

一軸

背屈&ゲンコツ→ロシアンスタイルのスイング
以上は現時点での僕の推理。

川の水が構造に沿って流れるのと同じ。構造に沿って技術は流れてくる。

所謂引き寄せの法則は、その規則性の感覚的説明だと思います。

構造に沿って流れてくる≒引き寄せ

ある精神構造がチャンス(偶然)を引き寄せる、という話。引き寄せはオープンマインドやマインドフルネス、仏教なら悟りと言い換えられます。

チャンスを引き寄せる、というよりはむしろ、チャンスを遠ざける構造を避ける、と言う方が正しい。

可能性に対して心を開かせ、論理的にチャンス(金、人、知識)を引き寄せる精神構造があるのです。言語による論理的な展開を省くとスピリチュアル的な説明になると思います。

 

日本のお箸(引く)、海外のナイフとフォーク(押す)は人種的(≒遺伝的性質)な違いに由来していると解釈できます。

腸腰筋が強いとズボン。弱いと着物。膝先で踊る盆踊りと股関節で踊るコサック。日本本土とは異なりポリネシアンが流入した沖縄のエイサー。アイヌが流入した北海道のソーラン節。アフリカの跳びはねる伝統舞踊なんかも分かりやすい。

つまり、文化は遺伝的な構造から導かれる必然なのではないかなと。

アイヌ人

港川原人

以上を逆回転させた論理、
肩甲骨の外転→二軸→肩甲骨平面→握り
が妥当であるなら、
肩甲骨を外転させる何らかの要素がロシアンフックを導いていると考えられます。

肩甲骨の外転を引き起こすのは、構造から逆算して前鋸筋小胸筋腸腰筋です。

この解釈は以下の骨格と整合的です。

クリロナ

ロッベン

この骨格を作ることが必然的にロシアンフックを導いてくると言い換えられます。

ある意味では、ロシアンフックは身体的なエリート以外を篩い落とすシステムであり、故にロシア人は強いと言えます。技術自体が篩になっているのです。

ロシアンスタイルが、ではなく、それを実行できる人が生理的に強いだけ。ゲンコツを当てるロシアンスタイルでないパンチャーはゴロゴロいることからも、正解ではないにしてもこの推理は的に近いのではないかなと。

日本の反復を強制する文化がストレス耐性の高い人種(エリートの資質)を選別しているのと似たような構造。

茶道やバレエ、クラシックも似たような仕組み。教養を持とうと努力できる遺伝子だけを選別するシステムです。エリートだけで知識や富の分配が行われるようにして、地球上の資源の浪費を避けている。そうでない文化体系は滅びた。

バカ(動物性)が参入できるシステムは壊れます。

抽象するなら、文化はエリートを選別する篩と言えるのではなかなと。SNSなんかは顕著。バカには理解できないような文章構造にするとそれは篩落とされます。

ないしは、従って、すなわち、あるいはなどの論理を接続する言葉。”ないしは”専門的な書籍やYouTubeでしか聞かれない言い回し。”あるいは”日常生活では聞き慣れない言葉。

大胸筋パンチ

以上の結論からは、肩甲骨平面、ひいては大腰筋パンチが浮かび上がって来るはず。

肩甲骨平面は、「前鋸筋の収縮方向での腕のスイングが大胸筋の力を最大化するシステム」の「腕のスイング」という部分を切り出したもの。

つまり、肩甲骨平面内で滑走するように設計されているから、肩甲骨平面内で加速させるとパンチの勢いが増すわけです。

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また、肩甲骨平面内で腕を加速させようとした場合は、腕の自由度が低下します。それを補うのは胸椎の側屈です。

胸椎の側屈を起こすのは大腰筋。また出てきました大腰筋。

タイソンなどの歴史的なボクサーのディフェンスやコンビネーションなどから得られる規則性も大腰筋は説明してくれす。

以上を抽象するなら、ボクシング技術の発生源は大腰筋(≒腸腰筋)であると言え、細部を捨像するなら実体であると見なすことができます。

これが弱いボクサーと強いボクサーとでは技術体系が異なるように見える理由でしょう。

体重移動で加速させる「引っ張り打法」と骨格の反発で加速させる「手打ち打法」は論理の体系が異なります。

タイソンのようなヘッドスリップは日本では見られません。仮にタイソンのやり方が合理(正解)だと仮定した場合は、日本の技術論は間違いを教えていることになります。
※間違いはない。視点は恣意的。

そうなるのは恐らく、社会構造的に「弱者の認識」が支配的にならざるを得ないからです。数学や物理学の土台である論理的哲学的思考が社会的に普及せず、感情論が支配的になるのは、単にそれを理解する能力を持つ人種が少ないから。

すなわち、社会は非合理であふれています。

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社会にはガラクタしかないのだから、それには付き合わない方が合理的だ、と言っているのです。つまり、ブッダはバカになるな、と言っています。

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「考えるな、感じろ」です。

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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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