投擲動作とパンチ

技術運動理論選手分析
投擲パンチ

これまでの繰り返しにはなりますが。

怪我の予防

1.肩甲骨外転前傾ロック
2.上腕内旋前腕回内
以下で説明するように、構造的にだとは思いますが、肘は上腕の内旋に連動して勝手に伸ばされます。仕組み上は肘が伸び切る確率が低いので怪我の予防になると考えられます。

ストレートで肘を伸ばし切って痛めた経験は、皆さんにもあるかと思います。打ち方やそれを導く世界観が悪いです。

パラエストラ天満やプロ選手指導、また僕の経験から、「肘で打つ」ような怪我の危険が増す打ち方をしているボクサーはかなり多いと感じます。肘の安全を担保して打てているのは体感的には1%以下だと感じます。つまりほとんど見たことがありせん。

投擲

上の動画は
パンチ≒投擲動作
であることが伝わりやすいのでは、と思います。

腕の動きだけを頭の中で切り取り、角度を変えてみてください投擲であることが分かるはずです。

動画のような一流のシャドーボクシングの共通点を導く実体を抽出します。

パンチ≒投擲

上の一流の動きは、投擲動作が強調されている、と考えます。

というわけで投擲を考えます。

骨格の構造から、原始時代は槍を遠くへ強く投げられる個体が自然により選別された、と推理します。
1m飛距離が伸びるだけで猛獣に察知される確率は劇的に下がったのでしょう。

その証明であるかのように、オーバースローで遠くへ物を投げられるのはヒトだけである事実があります。
ヒトの近縁種であるチンパンジーやゴリラですら、アンダースローしかできません。祖先が類人猿から分岐したのは生物史的にはつい最近です。

すなわち、神は極短い期間に、オーバースローを行える個体だけを徹底的に選別した、と言えます。恐らくは二足歩行を始めて木登りをやめた辺りでしょう。遠距離から殺傷力の高い槍を投げていた名残りが広背筋や大胸筋の構造であろうと。
僕は状況証拠からそう推理します。

上のようにリリースで腕がねじられるのは、広背筋が付着でねじられているからで、それは長軸を持つ槍にジャイロ回転をかけて飛距離を伸ばそうとしたからだろう、と推察できます。

槍を長軸方向投げた場合、それには広背筋に由来した横回転が構造的に加えられます。

コマが分かりやすいですが、長軸に対して横回転を加えると物体の動きは安定します。
ジャイロ回転をかけることで槍の軌道は安定し、遠くまでそれを飛ばすことができます。これが広背筋が腕の付着でねじられている理由であろうと僕は推理します。上手に槍を投げられる突然変異だけを自然が選別したわけです。

大胸筋も腕にねじられて付着しています。これもスイング時に腕を構造的に内旋させ、投擲物にジャイロ回転をかける為だと推理します。

そのねじれ方から、下に載せたフォームで、つまり、物体をリリースする直前で大胸筋の下部と上部が伸張されるような構造である、と推理できます。

テノデーシスアクションと腱固定

また、この時の手首の角度を見てください。背屈しています。テノデーシスアクションに槍を握らせているわけです。

また、肘の角度は90°程。
これは肘の腱固定を利用していると推理できます。
カバンを腕に引っ掛ける時や重い段ボールを持つ時などは肘を90°に無意識に固定します。それは、その角度で構造的に肘がロックされて楽だからです。

ゲンコツロック その二
動画のように拳が握れると肘から肩甲骨までロックがかかります。 手首を掌屈させる筋肉と腕を押す重力が関与している気がしています。  配膳のする時、または女物のバッグを手に掛ける時って自然と肘を90度に固定しますよね。それは、その角度で肘がロッ...

握りにも注目です。小指と薬指は楽にして、人差し指と親指を主体として握っていると目測できます。それは槍投げ以外にも言えることです。

以上の肩甲骨ロックから握りまでの特徴は、野球やテニス、ボクシングなど、様々なスポーツの一流に見られる特徴の共通点であると僕は感じています。

これを妥当な推理だと仮定した場合、アスリートに共通する動きを、彼らが別々に発見したものだ、と解釈するのには無理を感じますよね。

彼らには何らかの前提が共有されており、それが結論となる上記の彼らの動きを導出しているだろう、ということです。

起点は何か

前鋸筋小胸筋の収縮に伴った肩甲骨の外転前傾が強調された場合は、下のGGGように上腕が内旋します。身体能力の高いアスリートは、手の甲を前へ向けて振ることを何となく知っている人もいるだろうと思います。

前鋸筋と小胸筋の強さが肩甲骨外転前傾を導き、既述の広背筋のねじれ構造に伴う上腕の内旋を導いていると考えられます。

四足歩行から二足歩行へ移行した時の名残りを投擲へ応用した、と推理します。

また、上腕三頭筋は肩甲骨に付着し、肩甲骨の外転前傾に伴って伸張される構造をしています。

以上を頭の中で連動させて見てください。投擲の理に適った構造が神から与えられていると自然に考えられるはずです。

また、この場合に起点となるのは前鋸筋と小胸筋です。

一流に背屈ロックから肩甲骨ロックまでが共通するのは、「前鋸筋小胸筋の強さ」という前提が共有されているからではないかと。それが必然として同じ技術を導いているのだろう、ということ。

これは、技術を導いてくる前提を揃えなければ上手くはなれない、と対偶を取れす。

また、これを抽象して考えるなら、骨格(姿勢)や練習の構造が技術を導いている、と推理できます。

日本のボクシングの技術論や価値観は、競技力向上という視点なら時間と体力を溝に捨てる行為であるとも言えるのではないかと。奴隷製造という意味では理に適っていますが

また、上が妥当な推理であると仮定するなら、「右に倣え」の日本の文化の脆弱性も浮き彫りとなります。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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