拳が固いに思いを馳せる Hands Of Stone

技術

Youtubeのコメントで拳が固いについて教えてほしいって質問がありました。
実はこの議論は抽象的過ぎてあまり好きではありません。漫画読みすぎだよって思います。

ただそれで終わらせてしまうとつまらないのでいくつか拳が固いの要因について考えてみました。
「技術的」には打法の違いだろうなって結論しました。
いわゆる固い拳ってのは手打ち打法。パンチが重いってのは引っ張り打法。

拳が衝突する時の速度が速ければ固くなって、体当たり度が強くなるとドーンって感じになる。
この違いじゃないかと思っています。

以下の記事は別の即面から拳が固いについて考察しています。
当たる瞬間に関節を固定するの技術に熟練している、または関節に近い筋肉であるインナーマッスルが大きいからじゃないかって結論しています。

今回は拳が衝突する速度から考えてみます。

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拳が固い

運動量って概念でも説明できますがパワーって言葉の方が馴染みがあると思うので今回はエネルギーって概念を使って拳が固いを説明します。

仕事率(パワー)

仕事率(パワー)は時間当たりの仕事(エネルギー)です。
ざっと定義はこんな感じ。

仕事を時間で微分したのがパワー。
$P = \frac{dW}{dt}$
W = 仕事,t = 時間なので単位時間当たりの仕事が大きければ大きいほどパワーは大きいことになります。
仕事は力がどれくらいの距離作用したのかを表していて、力と距離xで求めます。
$W = \mathbb F\cdotΔx$
力はこう定義されてます。
$\mathbb F = \frac{d\mathbb p}{dt}$
pは運動量で運動量の定義はこう。速度の質量倍。
$\mathbb p = m\mathbb v$
速度の定義は位置ベクトルの時間微分。
$\mathbb v = \frac{d\mathbb x}{dt}$
要するに「パワーが大きい」とは短い時間で大きな質量を動かせることを示しています。

パワーの定義を遡ると距離って概念が2回も出てきて混乱しますよね。同じ運動を記述するだけなのにごちゃごちゃいろんな概念があるのは、あった方が便利だからです。

運動量、力、力積、仕事率、エネルギーは似たような概念で運動を記述する方法が微妙に違うだけです。

詳しくはWikipedia見てください。

拳が固いとは「当たった極一瞬で沢山の仕事をこなした」ってことじゃないかと考えています。
衝突の瞬間の速度が大きい、一瞬でエネルギーを伝えたとも換言できます。

イメージに置き換えて話していきます。

手打ち打法

手打ち打法の利点は自動システムに体幹の制御を任せることで、衝突直前のブレーキ効果による拳の加速を行うって発想に立っています。

衝突直前に体幹のエネルギーが拳へ送られて加速するので衝突時のパワーが大きくなります。
短い時間で多くの仕事をこなすので仕事率(仕事の効率)が高いと言えます。

引っ張り打法

引っ張り打法は体幹で腕を引っ張って衝突させますので、当たる直前の加速が弱くなります。
当たった直後も体幹で腕を押す時間が長く、やや間延びしたパンチになり仕事率が低くなります。
時間当たりの仕事が小さい、衝突時の速度が小さいと言えます。

視覚的にイメージしやすいようにシミュレーションを作りました。

単位時間当たりのどれだけ仕事ができるかの効率(仕事率)の差が重いとか固いの差じゃないかと。

Hands Of Stone

石の拳と言えばデュラン。
手首を柔らかく使って投げるような手打ち打法です。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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