インスタに載せましたが、この動画の詳細をまとめていきます。
自動システムによる姿勢制御とサイレントピリオド。無心により起動される運動における合理的なシステムがあることを解説していきます。股関節への乗れること、身体外部のエネルギーの利用の重要性にも繋がっていきます。
自動システムによる慣性力と重力の利用
まずその前に運動を少し抽象化して考えてみます。
運動の抽象化
1.エネルギーの貯蔵
重力による全身の位置エネルギーを一か所(ハムケツ)に集めます。
2.推進
集めたエネルギーで体を押して並進させます。
3.エネルギーの伝達
ブレーキ効果により並進運動を回転運動へ変換し合成したエネルギーを末端へ伝達、集約していきます。
ほとんどのスポーツは体幹にエネルギーを集め、それ使って末端を加速させていく上手さを競っています。
股関節おじさんのタメ動作を見ていきます。
具体例でみる
先に補足をします。
腕の力が抜けた場合、重力は肩を支点に腕を回転させる力に変換されるので、腕は軸の真下へ落ちていきます。なので股関節に乗れている場合腕の落下のエネルギーは股関節に貯蔵されます。
ドサドサ歩きでも解説しましたが、股関節に乗って力を溜めようとすると頭や腕の質量が股関節ラインへ集まってきます。
ハムケツに上半身の重さが乗り活性化、また位置エネルギーが腱の弾性エネルギーへ変換されます。
2.推進
腕を思い切り投げる意識で動作を行います。
股関節へ意識は向いていませんが、股関節の強い閉動作が起こっています。
貯蔵したハムケツの弾性エネルギーと伸張により活性化した筋肉の強力な収縮が起こっている証拠です。
3.エネルギーの伝達
衝突直前のブレーキ効果による腕の加速も自動制御で起こります。
上半身の推進力を相殺するために質量が再び股関節ラインへ集まってきます。
この質量の移動により骨盤を床へ押さえつけて、骨盤の回転を制止するための床反力をもらいます。
跳躍の直前に起こる下方への腕振りや股関節の屈曲による上半身の落下、走行時に起こる支持脚側の下方への腕振りと同じ原理で床へ落下させる質量を大きくしてもらえる反力を大きくしています。
軸脚の構造が弱いとこの反力をロスすることになります。
体重移動の床反力は骨格を伝い、骨盤の回転を制止する力となります。
床反力に押し返してもらうには軸脚の向きが重要になります。
これらの制御は自動的に行われます。
意識的にコントロールできる人は存在しないはずです。
意識的な制御の害
ここまでの説明で、意識的な動作はむしろ人間に備わった芸術的な自動制御の能力を奪う可能性すらあることが理解できるではないでしょうか。
腰を回す反復練習は自動システムによる効率的なエネルギー交換を妨げはしないか?
股関節を絞る意識が巨大なエネルギーの源泉である重力を無駄にさせてはいないか?
顎を引く、腕を上げる、膝を曲げるなどの意識が合成され、いびつに構築された姿勢がスポーツの生命線であるバランスを失わせてはいないか?
バランスの崩壊が力強さ、速さ、反応を致命的に棄損していないか?
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