振り子の動きが大切なのは頭を動かして的を散らすということなんですが、的を散らすことの重要性は「動く的は当てるのが大変だよね」で終わるほど浅いものではないと考えています。
選手との話のなかで彼らを納得させられる話ができたのでそれを記事にしてみます。
無意識をハック
無意識の計算能力
僕達意識は潜在意識を傍観しているだけです。
例えば手を伸ばして何かを取る時。
意識的に物体との距離と角度を計算しているやばい人はいないと思います。
いちいち計算なんてしなくても手を伸ばせば届くのか、届かないのかは直感できます。それは潜在意識(本能)が難しい計算をしてくれるからです。僕たちは潜在意識の計算結果を受けとっているだけです。
潜在意識の計算の具体例をいくつか挙げます。
街を直進する時の景色の変化を思い出してください。
前へ進むごとに見えるものの形はそのままで、大きさだけが変化しますよね。
その変化は移動速度と関係していることを僕たちは何となく知っています。
車に乗った時にいちいち物体の大きさの変化に驚きませんよね。
それは入力となる速度によって出力である景色が変わることを潜在的に知っているからです。
つまり、僕達は無意識に「比例」の計算をしているんです。
僕達が学校で数学の比例の概念を簡単に理解できるのは、潜在意識の中に既にその概念が形成されているからです。
元々持っている概念を流用しているだけです。
懸垂線、放物線と呼ばれる曲線があります。
懸垂線は紐の両端を持って垂らした時の曲線で、放物線は重力下で物体を投げた時の軌道です。
数学が必要な懸垂線と放物線の曲線を僕たちは定義式を知らずとも、イメージとして直観できます。
キャッチボールは簡単にできるし両端を固定した紐のたれ具合も何となくですが、簡単にイメージできます。
潜在意識が勝手に計算をやってくれるんです。
ところで、計算というと数学のような数式を想像してしまいますが、潜在意識による計算の方法は数学のような数式ではなく(当たり前だが)、シャボン玉が表面張力を計算する時の方法に近いと僕は考えています。
石鹼水に輪っかを浸して取り出すと最も張力が小さくなる面積が導き出されますが、そんな感じで現在のイメージを過去のイメージに浸して計算結果を導き出していると考えています。
構造によって一瞬で答えが導き出されます。
一般的にシャボン玉は、水と石鹸水でできています。 それらを混ぜ合わせて膨らませると、シャボン玉の膜は液体なので、表面張力が働きます。 表面張力とは、液体がその表面積をできる限り小さくしようとする力のことです。 … この表面張力によって、表面積を小さくしようとしてシャボン玉の膜は、自らを縮めようとする力が働きます。
引用
閑話休題。
意識できいないだけで、潜在意識は高速で膨大な計算を行っています。
前置きはこの辺で終わり。
プログラムをハックする
それではハックするの意味について解説していきます。
潜在意識はシャボン玉の例のように現在のイメージを過去のイメージに浸すことで、曖昧ではあるものの瞬時の計算を行っていると僕は考えているわけなんですが、浸す回数が多いと、つまり同じ映像を与え続けると、計算の精度が増していくとも仮定しています。
具体例で説明するとバッグ打ち。
普段打っているものと違うサンドバッグを使うと、重心の位置が変わるので上手く打てないということが起こります。
打ち慣れたサンドバッグでも立ち位置を変えるだけで感覚が狂います。
普段運転しているものと違う車を使うと勝手が違って恐怖を覚えるのもそうだし、靴が変わると走りにくく感じるのもそう。
微妙な刺激の違いが微妙な感覚の狂いを生み出しています。
実戦においても、相手の得意とする距離、立ち位置、スタンス、重心の違いによってはパンチの衝撃に差が生まれます。
回りくどくなりましたが、要するに相手の潜在意識が計算を正確にこなすのに必要なイメージを与えてはいけないということです。
同じ位置に頭があると”なんとなく”照準が合っていきます。
”なんとなく”打つべきパンチを直観できます。
過去のデータから潜在意識が答えを導き出して教えてくれます。
これをさせない為に頭の位置を変えることが必要なんです。
相手の無意識のプログラムを攻撃して出力を狂わせます。
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