アフマダリエフ vs. 岩佐 審判は命を預かる仕事

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よもやま話 選手分析

以下ハイライトなんですが、未観戦の方はどうぞ。

HIGHLIGHTS | Murodjon Akhmadaliev vs. Ryosuke Iwasa
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ストップは早すぎたのか

僕のTwitterだけかもしれませんが、ストップが早すぎたって意見もあったんです。
確かに早かったかもしれません。

だけれども、ストップまでの過程と選手の安全を考慮すると早かったで片付けることはできないと思ったんです。
仮に岩佐選手が攻めまくっていて、とかならストップは早かったと思います。
だけど、岩佐選手がポイントを奪っていたかといえば微妙で、ダメージは蓄積していました。
4ラウンドにいい左は当てていましたしアフマダリエフ選手のペースダウンも想像できました。

だけどレフェリーはどれくらい効いているか、安全に試合を続行できるどうかを判断しなければならないんです。

KOの直前はアフマダリエフ選手の左アッパーを受けて岩佐選手はロープまで後退りしてしまいました。
僕が見ても効いてしまったように見えました。

もちろんだからといってストップが打倒だったとは言いません。
僕はもう少し見てみたかったという気持ちはあります。
しかし、試合の面白さ以上に選手の命を優先するのがレフェリーの仕事です。

あの試合のレフェリーはそれまでの経験から何かを感じ取ったのかもしれません。

ホームの利点

今回の試合がどうだったか、というよりもボクシングを見る時に知っていてほしいことです。
ジャッジの判定やレフェリーの判定はホームの選手が有利です。

イベント主に依頼されてあからさまにホームの選手を贔屓する悪徳レフェリーやジャッジもいると思います。
しかし、相当金に困っているレフェリーならまだしも、自分の名誉を傷つけてまで贔屓をする利点があるかは微妙です。

恐らく会場の雰囲気に影響されている部分が大きいと思います。
試合会場に入場する観客は当然、母国や地元のファン、応援団です。

そうなると、ホームの選手が有利になるのは仕方がありません。
大したことないヒットでも大騒ぎしますし、アウェイの選手がどれだけ当てようが静まり返ったままです。
僕の先輩でタイでベルトを奪った江藤光喜さんもそう言っていました。

ジャッジは常に正確な判断ができるアングルから確認できるわけではないんです。
当たったか分からない場合、声援に左右されることが普通に考えられます。

レフェリーもそうです。
よく見えなかったけど、アウェイの選手がたたらを踏んで後退して、大声援が起こっていたら効いたと錯覚してしまうはずです。

次にジャッジには攻勢を評価する、ヒットを評価する、ディフェンスを評価する、ルールを順守するといった傾向があります。
当然ながらプロモーターはその傾向を把握しています。
大金の動く試合ではそういったデータをもとにレフェリーを採用するような力が働くはずです。
コミッションがプロモーターから金銭の授受がある以上利害関係が存在します。
プロモーターがわざわざ依頼なんてしなくても、コミッションが有利な人員の配置を行うことは普通に考えられます。

ボクシングでなくてもそうです。
出世したいなら、利害関係のある上役に忖度するはずです。

レフェリーの重圧

次にレフェリーの重圧についてです。
レフェリーは試合を面白くする以上に、選手の命を守らなければなりません。
ドミノ倒しのドミノを並べるのって特に難しくありませんよね。
ジェンガもそうですね。
別に難しくはない。

だけど、ミスをしたら他人が殺されると言われたらどうでしょう。
ドミノ倒しのドミノを並べる手が震えるはずですし、ジェンガを抜き取る手が震えます。

人の命を預かるような極限状態なら、普通は絶対にしないような失敗をするんです。

ファンや選手が無視しがちな部分でもあります。

試合中は公平で中立、冷静でなければならいレフェリーも人間です。
ミスはするんです。
僕達は慌てて家を出るだけでカギを閉め忘れたりします。
簡単なことですらミスをするんです。

レフェリーにかかる重圧はそんなものではないんです。
人の命を預かっているという重圧は、正気を失わせるんです。
プロにそんなことは許されないと思う方は、申し訳ありませんが経験不足だと思います。
プロでも重圧がかかる場面ではミスはします。

レフェリーは試合の面白さ以上に選手の命を守らなければなりません。

選手は試合中、勝利以外のことに価値を感じません。
僕は最後の試合はほとんど距離感のない状況でした。
ダウンを奪われた時ももほとんど視界ははっきりしていませんでした。
目の見えない状況での殴り合い。
しかも、身体を鍛え上げた者同士の殴り合いです。
試合を終わってどれだけ危険なことをしていたか感じます。
死んでもおかしくなかったとも感じます。

でも、僕はその時の地位を失うことやさらなる未来を想像して、辞めようなんて気持ちは微塵も起こりませんでした。
試合中にそんな心理状態なんです。
戦っている選手は正気を失っているんです。
「もっとできた」
そう思うのは当たり前なんです。

今になって、症状が顕著になった上で日常を経験して僕は後悔しています。
これがずっと続くという想像はしたくありません。

レフェリーは選手の命、健康、未来を守っているんです。

その重圧を想像してみてください。
選手が事故で死んだあとで、遺族から責められ、自責の念に襲われ。
今の僕がやっているみたいに死なないにしても健康に影響があったと責められます。

選手は試合中、正気を失っているんです。
コーナーもそうです。
選手の命や健康より勝ちを優先することは普通に考えられます。

選手がおかしいと感じても、あと一歩でトレーナーとしての名誉が手に入れられるなら。
極限状態で人は狂ってしまうんです。

レフェリーの仕事は選手の命を守り、公平に戦わせることです。

レフェリーは計量から選手の様子を見ています。
試合も最初から最後まで一番近くで選手を見ています。

画面越しでは分からない何かを感じているかもしれないんです。

ストップの早いビニー・マーチン

日本国内だとストップが早いで有名なマーチンさん。
僕は何度も同じリングに上がったことがあります。

ビニーーさんは、はっきりと選手の安全を一番優先しています。
試合の前は声をかけてくれます。
その時も僕たち選手の様子をうかがっているんです。

自信がありそうか、減量はどうだったかといった心身のコンディションを伺っています。

僕はビニーさんにストップ早いよねって言ったことがあるんです。
ビニーさんは言いました。
「命を守るのが仕事だから」と。

人の命を預かる重圧は計り知れない。

レフェリーも人間。
人の命を預かる重圧の下においては、簡単な判断ですら失敗する。

悪徳なレフェリーは確かにいる。

だけど、レフェリーの判断は尊重しようぜ。

国民の命や生活を軽んじる政治家にビニーさんの爪の垢を煎じて飲ませようぜ。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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