「拳はにぎるのか?」を検索している方がいるようなので、そのことのについて僕の考えを述べていきます。
「テノデーシスアクション(腱固定効果)」という仕組みを利用して拳を自動で握らせる方法も紹介します。
ところで、気がついたらトランプ元大統領作っていました。
せっかくなので身体も作って
最終的には戦闘プログラムを施し、ボクシングを教えようと思っています。
閑話休題、本題に入ります。
拳は握る?
テノデーシスアクション
手首の屈曲伸展によって拳が自動的に握られるテノデーシスアクションというものがあります。
日本語だと「腱固定効果」です。
こんな風に手首を曲げることを「掌屈」と言います。
掌側に手首を曲げることですね。
実際に同じようなことをやってみてください。
掌の緊張が解けて指が伸びます。
これは背屈です。
実際にやってみてください。
指が自動的に握られるのが分かると思います。
これは手首の腱が肘に繋がれているので、背屈させると腱に引っ張られて指が握られるからです。
チンパンジーが楽そうに木にぶら下がっていられるのもこのテノデーシスアクションを利用しているからだと考えられます。
物を投げる時もこのテノデーシスアクションを利用しています。
この場面は手首が背屈するのでボールが自動的に握られます。
この場面は掌屈しているので自動的に指の緊張が解放されます。
投球をするときに指を握って、開いてなんていちいち考えませんよね。
勝手に握って勝手に離しています。
テノデーシスアクションを利用しているからです。
人間は物を投げる生き物である説明にもなりますね。
こんな風に手を掌屈して構えると腕が伸びた時にテノデーシスアクションにより拳が握られます。
ロベルト・デュランがこんな感じで構えます。
「拳は当たる瞬間に握る?」
「当たる瞬間に握る」ってよく聞きます。
ただそれって本当なのか。
というのは「握る」意識は必要なのかってことです。
僕は当たる瞬間に拳を握るのって不可能だと思うんです。
先ほどの投球の例でも挙げましたが、いちいち細部まで意識していたらボールを投げられません。
ボクシングも同じだと思います。
いちいち意識していられない。
「当たるまで握り続ける」はできると思います。
要するにパンチを打つまで力み続けるってことです。
でもよく言われるのは「当たる瞬間に握る」です。
これは現実的ではないと思うんですよ。
人間の反応速度では不可能だと感じるからです。
練習すればできるようになるとか、そんなレベルの話ではありません。
練習の段階から不可能です。
もし当たる瞬間に握ろうと意識すると必然的に力んでしまうので、パンチが遅くて弱くなります。
それって本末転倒というか、力んでパンチを打つ練習になってしまいますよね。
技術的には後退を意味します。
当たる瞬間に握ろうとすると自然にパンチを打てるとは到底思えません。
少なくとも腕のしなりを損ねてしまいます。
当たる瞬間に握れるようになった頃には腕をガチガチに力ませてパンチを打つ、不要な”技”も同時に身につけてしまうはずです。
握るんじゃなくて硬い場所を当てる
僕が大切だと思うのは「拳を握る」意識ではなく、「人差し指と中指の固い部分を当てる」意識です。
ここです。
ここで殴ってくださいと言わんばかりの構造をしています。
骨が分厚くなって、先端が鋭利になっています。
以下での述べていきますが、ここを当てることで前腕の強い骨である橈骨で衝撃を受け止めることができます。
橈骨の手首部分を見てください。
大きく横へ広がっています。
そして上腕骨と繋がる肘側は平になっています。
逆に尺骨は細くなっていて手首側の面積は大きくありません。
肘側は凹凸になっています。
拳の中指と人差し指部分を当てると、手関節と肘関節の支持面が大ききくなっている橈骨で衝撃受け止めることになるので、力が分散しにくくなります。
椅子も足が3本より4本の方が支持面が大きくなて安定します。
支持面が小さいと衝撃を受けた時にグラグラと揺れるので力が逃げてしまいます。
構造的にも尺骨は手首を側屈(チョップみたいにする)させる、要するに手首を動かすための関節で、立ち上がる時に体重を受け止めたり、重いものを押したりする骨は橈骨です。
まとめ
テノデーシスアクションを使っていると感じるのは古い選手ですが、ロベルトデュランです。
手首をぶらぶらさせて、掌屈させて構えています。
ただ、一流選手に頻繁に見られる共通点ではないんで、テノデーシスを使う重要度はあまり高くないかもしれません。
拳を握る意識についてですが、基本は「当たる瞬間に握る」ではなく人差し指と中指の付け根えを当てて、橈骨で衝撃を受け止めることだと僕は考えています。
コメント
今日の練習で気付いたのですが、バンテージの巻き方というか、バンテージを巻くことによってもしかたらデノデーシスアクションが勝手に作用しているかもしれません。
バンテージを巻くことで腱固定効果が作用し自然と拳を握っている状態になります。それによりトッププロの選手は拳を強く握らなくてもナックル部分をピンポイントで当てるだけで強いパンチが打てるのかもしれません。
つまり彼らは拳を握っていないのではなく、最初からパンチのしなりやスピードに影響がでない限界までの握りをバンテージが担っているということです。
あまり関係はないですが、このことに気付いたのはサンドバッグで疲れてきて拳を握れなくなってきて脱力が効いてきたときでした。「握っていなくてもかなり強いパンチが打てるぞ!いやむしろ握る意識がないほうが早くて強いし疲れないぞ!」ということを実感したんです。
他にもバンテージ有りのときの縄跳びと無しのときの縄跳びの前腕の疲れ具合にすごい差を感じたときもなんとなくデノデーシスアクションが頭をよぎりました。私の理論で行くと、バンテージを巻くことでより縄跳びを握る力が強くなっていたため、バンテージ無しのときよりも前腕がパンパンになってすごく疲労したのではないかと思います。普通は縄跳びを力強く握って飛ばないですもんね。
いつも通りの長文失礼しました。
いつも通り参考になりました。
コメントありがとうございます。
実はyoutubeでバンテージに関する話をしています。
もし興味があればご覧ください。
試合中のバンテージは握る必要が内容に作られていますので、握る必要はありません。
ただ、バンテージを巻くのが下手な人もいるんですよね。
最近はバンテージ職人もいますし、勝率への影響を考えると今後需要が高まるかもしれませんね。
ASBさんのところで話してたんですね。なかなか面白い話が聞けました。
ジムに入った当初は、拳の保護で巻くんだよとしか聞いていなかったので、そもそも握る必要が無いように作られているとは思いもしませんでした。
ジムのトレーナーの一人にはちゃんと握って打てと言われていたのですが、ジムの会長にはリラックスして打てと言われたどっちなんだろうと答えが出てなかったのですが、バンテージはそもそも握る必要が無いようにするものなんですね。むちゃくちゃ基本的な情報をありがとうございました。