大きく身体を使えるという才能 PART2

運動理論

サイレントピリオドと伸張反射の側面から大きな動作を意識する練習について考察を深めて考えてみます。
前回はやや抽象的に身体を大きく使えることの利点を、そしてそれは経験により習得され、間違った反復練習により奪われてしまう才能だとお話ししました。

今回はもう少しだけ具体的に身体が大きく使えることを重視する僕の持論を解説します。

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サイレントピリオドと重力

瞬間的に大きな力を発揮しようとした時、無視されがちなのが重力を使っているということです。
重力は誰にでも等しく使うことの許されたた力で、地球上なら誰でも利用できます。
具体的には身体を落下させることで重力による位置エネルギーを腱の弾性エネルギーに変換して利用します。

例えば強いパンチを打つ時。
意識したことはないかもしれませんがパンチを打つ時、僕達は上半身を落下させその力を弾性エネルギーに変換して利用しています。
壁を強く押そうとした時もそうです。
無意識下で一瞬身体の力が抜けて上半身が落下します。
そのエネルギーが腱に弾性エネルギーとして一旦貯蔵され、それが一気に開放されることで股関節や膝関節が伸展し、壁を強く押すことができます。
他にも幅跳びや垂直跳びにおける股関節と膝関節の「屈曲動作」も同じ理由から起こります。

人体にはこのような重力による位置エネルギーを利用する仕組みが内蔵されています。
大きな力を発揮しようとした瞬間に、筋の一瞬の弛緩状態、つまり脱力が起こります。

この弛緩のことをサイレントとピリオドと呼びます。
日本語では動作前筋放電休止期というややこしい名前がつけられています。

強い力を発揮しようとすると上半身を支えていた下半身の力が文字通り一瞬抜けます。
上半身は短い時間落下し、再び筋力が発揮されることで身体が支えられるのですが、

この小さな上半身の落下により、下半身の筋群が引き伸ばされ、その腱に弾性エネルギーが貯蔵されます。

加えて急激に筋が伸張されたことにより伸張反射が引き起こされ、筋の強い収縮が起こります。

サイレントピリオドは人間が強く速く動くために重力と筋の伸張反射を利用する仕組みだと考えられます。
この緊張と弛緩のサイクルが上手い人は、瞬発力と脱力したしなやかな動きを併せ持っています。
いやゆる運動神経がいいと言われる人達です。

意識的な運動は長期的には×

ここからが「大きく動く意識」に繋がっていきます。

ここまで聞くと、「じゃあ一度落下するイメージが必要なのか?」と結論してしまいそうですが、話はそう簡単ではないんです。
なぜなら落下自体を意識すると、それは随意的(意識的)な運動になってしまうからです。
随意的な運動では伸張反射が起こりません
そうです。
随意的に運動すると筋の強い収縮が起こせないんです。

随意的な収縮は収縮速度が遅く、また発揮できる筋力も弱い。
また緊張が長引くため、力みに繋がります。

伸張反射は不随意による運動でなければ起こりません。
つまり、細部の関節を意識してはいけないので、やや漠然とした意識で身体が動かせないといけないんです。
漠然としたというのは「跳ぼう」「走ろう」みたいなことで、逆に細部を意識するのは「この関節はこう、この関節はこう」みたいなことです。

意識的に身体の細部を動かそうとすると始めは上手くいきますが、続けていくうちにぎくしゃくしていきます。
これは僕が経験から発見しました。

恐らく随意的な筋の収縮である短縮性収縮は大きな筋力を発揮するためには時間がかかるからです。

じわりじわりと力が入るということです。

この性質により随意的な収縮では大きな力を発揮した後に筋緊張が継続すると僕は考えています。

随意的な運動を続けていくと最初は上手くいきます。
しかし、結局は力みに繋がり、長期的には逆効果になってしまいまうと経験から僕は感じていますし、筋収縮の性質からもそうなると考えています。

対して不随による伸張反射は一瞬でピークアウトして力が抜けていきます。

そこで僕が考えた方法は、「身体を大きく使う意識」をすることです。
初めは「漠然と強い力を発揮しよう」と試みましたが、強い力を発揮しようと意識すると身体が緊張してしまいました。

試行錯誤の末、たどり着いたのが「大きく身体を使う意識」です。
上手くいきました。
体感として力みにくく、また腱の弾性や伸張反射によりしなやかなに強く動くことができました。

これを発展させたのが「加速意識」です。

膝を曲げると力む

これに関連して次に膝を曲げることについてお話します。

普段から膝を曲げている方は気がつかないかもしれませんが、膝を曲げると下半身が常に緊張状態に陥ります。
もし普段の構えから膝を曲げている方はその姿勢のままで日常生活を送ることを想像してください。
めちゃくちゃ疲れると思います。
普段の習慣や膝理論のイメージが染み付いていると気が付きにくいですが、無駄な筋力を発揮しているんです。
それが長期間続くと肩こりのよう筋肉が骨格化し、動かそうにも固定されて動かせなくなってしまいます。
不自然な筋力立ちでも長期化し習慣化していると気がつかないんです。

重力を利用するためにサイレントピリオドが起こっても腿が緊張していると思ったように腱の弾性が利用できませんし、伸張反射に干渉してその力を弱めてしまいます。

まとめ

まずは楽に立てる姿勢を知っていること。
次に運動の細部を意識しないこと。
そのためのコツ(感覚)が大きく動く意識。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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