サイレントピリオドとパンチ

よもやま話運動理論

サイレントピリオドは日本語だと「動作前筋放電休止期」という難しい言い方をします。
素早い動作を行う直前に筋活動が不随意に停止し弛緩(脱力)する瞬間のことを指して言います。
運動に熟練すればするほどサイレントピリオドが起こりやすいという報告もあります。

大きな力を発揮して筋電図のグラフが大きく揺れ動く直前の筋の弛緩(筋活動の休止期)がサイレントピリオドです。

これから述べていくことはあくまでも僕の考えなので間違っているかもしれませんが、何故運動が熟練するに従いサイレントピリオドが現れるようになるのかを考えていき、結果として必然的にパンチを打とうとすると腕が下がる(重力により落下)ことを説明します。

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サイレントピリオドの考察

位置エネルギーの利用

人体は大きな筋力を発揮しようとした瞬間、例えば高く跳ぼうとした時は大きくしゃがみ込んで股関節を屈曲させます。

骨盤前傾の左図のように下半身が脱力し上半身が落下すると上半身に押されて骨盤は前へ倒れ股関節が屈曲します。

この時臀部と裏腿の筋が引き伸ばされて上半身の位置エネルギーが腱に移動します。
つまり、上半身の位置エネルギーが跳躍時の身体の推進に利用されます。

この時下半身や骨盤など上半身を支えている筋群を完全に脱力させることができれば、上半身の重力による位置エネルギーが跳躍へ効率よく利用できます。
跳躍の直前に股関節や腰椎、下半身が脱力できず筋力を発揮していた場合、重力による上半身の落下にそれが干渉し落下の勢いを弱めてしまいます。

伸張反射の利用

同時に上半身の落下により骨盤の前傾角が増加するので、股関節伸展筋群が伸張され活性化し、また急激な伸張による伸張反射により速く、強力に筋が収縮し股関節が伸展されます。

僕はサイレントピリオドは以上のようにして位置エネルギーと伸張反射を利用する仕組みだと考えています。
筋が弛緩すれば重力により自然と身体は地面へ引き寄せられ、腱の弾性や伸張反射といった本来身体に備わった、意思では呼び出せない強力な機能を呼び覚ますことができます。

スポーツの熟練者にサイレントピリオドが発生しやすいのは、動作の細部を意識していないからだと考えています。
細かい関節の動作を意識せず、無意識下で「なんとなく」動こうとする人ほどサイレントピリオドが引き起こされやすいはずです。

例えば、パンチにおいては力を発揮しようとした瞬間、意識的に腕を支えようとする悪癖がない場合、自然と無意識のサイレントピリオドにより腕とグローブが落下します。

サイレントピリオドにより腕の位置エネルギーが肩の腱に貯蔵され、また筋が伸張されるので最大筋力が増し強いパンチが打てます。

意識的な運動の弊害

もしパンチを打つ時に腕を下げてはいけないという意識があるとどうなるか。
サイレントピリオドは起こりません。
構えた位置からそのまま腕を出そうとします。
そうなった場合、腕の位置エネルギーや肩や胸の伸張反射を利用できないので強い筋の収縮が起こりません。
パンチ力が出せないんです。
真面目で常にガードを上げている選手は動きが固く発揮できる力に乏しいイメージがありませんか?
逆に腕をダラダラと下げている選手が瞬間的に大きな力を発揮するイメージは?

ガードが高いで思い浮かぶのは現役だとアルバレス選手や引退したリカルド・ロペス選手です。
しかしよーく動きを見てください。
パンチを打つ直前に腕は落下します。
腕を上げ続けているのではなく、上げ下げを繰り返しています。

ガードの上げ下げは実は力みを取り除くという側面もあります。
常に同じ位置に腕を置く習慣は力み癖に繋がります。
腕の上げ下げを繰り返してリラックスしてください。

まとめ

ガードを下げてもいいという話ではありません。
上げる時は上げる、下げる時は下げる。
このメリハリがパワーとスピードを生み出すうえで大切で、同時に力み癖を起こさせないという側面もあります。

このメリハリ、意識しない『不随意』による運動が俗に運動神経がいいと言われる人達の特徴です。

考えずに感じる。
僕は最近、この重要性を感じ始めています。
色々な方法を考えて、一周しました。
運動は考えてはいけないんです。

子供が運動の達人である理由かもしれません。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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