
肩甲骨ロック
上で示したような連動の理由とその利点を説明します。肩甲骨ロックができるとできないとでは体の連動性が変化します。
それは身体重心の動きに伴う床反力の受け方と動員される筋肉に差を生み出します。
ある閾値を境にボクサーのボクシング技術の体系に大きな差が生まれると考えています。
同じ体重の井上尚弥と四回戦の差、と言い換えれば分かりやすいと思います。前者は正の自己強化。後者は負の自己強化。
GGGのような、守りを担保し、かつその破壊力を高められるジャブを打つ合理的な技術体系を自然体で獲得できボクサーがいれば、どう足掻いてもパンチの勢い、及びディフェンスの両面で非合理しか導けないボクサーがいます。
知能や忍耐力など、考える能力にまで生まれつきの差があるとなれば、後者は死ぬまで搾取されます。
現実はクソ残酷。

ガード腕
肩甲骨が外転前傾でロックされる場合、両腕は自然に顔の前に置かれます。
コメカミになるのは肩甲骨が外転前傾していない弱者の典型。それは以下で述べる非合理な連動を導き、見方によってはボクシングを破綻させます。
前鋸筋小胸筋が強いボクサーが腰に手を置くと、自然体でジョーンズのようになります。立ち姿はタイソン。マッチョポーズはジョーンズやGGG、ロニコー。
すなわち、GGGのジャブの時のガード腕の位置は、肩甲骨ロックないし股関節ロックが起こす構造的な連鎖反応。必然です。
また、下に示したように、GGGのガード腕は内旋します。その理由を考えます。

ガード腕の内旋

ガード腕の内旋
このガード腕の内旋を導くはの広背筋です。
肩甲骨外転前傾ロックができる場合は、下に示したGGGのジャブのように、パンチは左右の広背筋へ張力を加えます。、
従って肩甲骨外転前傾ロックが強いボクサーのジャブのガード腕には張力が加えられ、広背筋のねじれ構造に伴う内旋が起こります。
以上を所与とした場合のGGGの身体重心の動きを考えます。
ブレーキ効果
肩甲骨が外転前傾でロックされるとは、質量が前の股関節側へ集まることを意味します。
すなわち腕の重さが床を踏む分だけ床が強い反力を返してくれます(ブレーキ効果)。
跳躍や走行で腕振りが起こるのは、それが床反力を増大させ、ハムケツの筋力を高めるからです。
肩甲骨ロックは大胸筋の構造を合理化するだけではなく、力学的に床反力をパンチの推進力へ効率的に合成してくれもくれます。

ブレーキ効果

偶力
肩甲骨ロックができない場合は、下の長岡の図のように、パンチ腕と反対にガード腕は飛んでいきます。パンチの運動と反対の運動を起こすことでバランスを保とうとします。本能的に。
ガードが疎かになる上にパンチの勢いも死にます。非合理が非合理を呼ぶ連鎖反応。負の自己強化。
強い正の自己強化の起こるGGGと凡人の差。


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