パンチを芯で受けない ディフェンスの原則

技術
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今回はディフェンスについてです。
『あの選手はパンチを芯で受けない』ってよく言いいますけど、それがどうして効果的なのかってことはあまり言及されません。

あまりジムでは教えないけど大切なことについて、フロイド・メイウェザー選手やカネロ・アルバレス選手のディフェンスついても少しだけ触れます。

今回は基本中の基本でもしかしたら当たり前のことかもしれません。

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重心

その前に必要な知識を先に解説しておきます。
『重心』という言葉はボクシングでよく使いますが、それが何なのかについてはとても漠然としていいます。

今回は厳密な定義の説明ではないので、簡単なイメージが分かればOKです。

重心に釘を打ち付けて紐を取り付けたシーソーです。
何となくイメージできると思いますが、この場合力は釣り合います。

シーソーは回転せず二人は無事です。

この場合はどうなるかと言うと、シーソーが反時計回りに回転して二人は振り落とされてしまいます。

バットの重心でボールを捉えた場合と重心から離れた位置でボールを捉えた場合はどうなるでしょうか。

重心で捉えた場合バットはボールの衝撃をまともに受けて打者は手ごたえを感じ、ボールは彼方へ飛んでいきます。

重心を外した場合はバットは重心を軸に回転し、ボールはそのままどこかへ行ってしまいます。
重心の一点に受けた時だけはバットが回転せず、まともに衝撃を受けます。
芯でパンチを食った状態です。

そして頭部に打撃を受けた時も同じようなことが言えます。

この場合衝撃をまともに受けることになってしまいます。
とても危険です。

顎ならどうか。
もし、顎側に打撃が当たってしまうと、重心を支点にして頭蓋骨が回転してしまいます。
『てこの原理』によって脳が頭蓋骨の内壁に叩きつけられます。
これが顎にパンチをもらってはいけない力学的な理由です。

こんな風に僅か1、2cmだけ軸を外すことができれば、頸椎が横に回転してして衝撃を逃がすことができます。

つまり顔面を相手に正対させ、相手から『顔面』の軸が見えているととても危険なんです。
パンチは見てから避けるのは不可能だからです。
始めからパンチに備えて『顔面の軸』を相手に見えないように隠すことが大切になります。

カネロ・アルバレス

アルバレス選手を例に見てみます。

パンチを空振りした場面。
ゴロフキン選手がカウンターの用意をしています。

ゴロフキン選手のフックが来る前に顔面を左へ向けて顔面の軸を隠します。

この場面のパンチに対して顔面の軸が隠れています。

これこそアルバレス選手がゴロフキン選手のパンチに耐えられる理由でもあります。

派手にのけぞっているので見栄えは悪いですが、上手く衝撃を頸椎などの関節で吸収しているとも言えます。

この場面も顔面を正対させず、顔面の軸を隠してジャブを側頭部で受けています。

強いジャブの衝撃を脊椎や股関節、膝関節で衝撃を吸収しています。

アルバレス選手は相手と正対しません。
この場面も顔面を斜めにして相手から顔面の軸を隠し、狙いにくくしています。

ボディーブローの時も顔面の軸は相手から見えないように隠しています。

フロイド・メイウェザー

マルケス選手のジャブに対して顔面はコーナーポスト側を向き、顔面の軸を隠しています。

メイウェザー選手も基本的に相手に顔面を正対させず、顔面の軸を隠します。

メイウェザー選手もアルバレス選手もパンチに対して軸を隠して常に相手のパンチ備えているから、仮に対応が遅れても衝撃を殺すことができます。

僕の観察から得られた統計ではジムの若い選手達を見ていても相手に対して顔面が正対している危険な選手が多いです。

パンチを避ける時に相手に対して顔面の軸が晒されていると危険。

アルバレス選手のように相手に対して顔面を斜めに傾けて備えるようにすべきです。

なので相手を見る時の目線は常にやや斜めになります。

まとめ

重心にパンチを受けると衝撃を吸収できない。
顎に受けるとてこが働いて脳が頭蓋骨に叩きつけられてしまう。

相手と正対して顔面の軸を見せてはいけない。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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