ジェラルド・マクラレンをご存じですか。
中量級史上最強のハードパンチャーとも称される元チャンピオンです。
31勝(3敗)のうちKO勝ちを29度(そのうち初回KOは20度)記録しています。
漫画じゃありません。
現実に起こった本当の話です。
1995年のスーパーミドル級タイトルマッチの事故による脳内出血で半身不随・失明により、24時間の看護が必要な状態となってしまった選手です。
試合後、相手選手の後頭部への反則打が批判された試合だったようです。
スーパースターを確実視されながらも反則打による怪我でリングを去った悲劇のヒーローです。
僕はマクラレンの現役時代を知りません。
でも大好きな選手です。
全身運動による破壊力
マクラレンを知らない方は以下のハイライトをご覧ください。
全身凶器です。
マクラレンのパンチは使っていない筋肉はないんじゃないかってほどの全身運動です。
KO数もKOまでの早さも納得のパワーとスピードです。
マクラレンは多彩な選手ではありません。
使う武器は二つ。
ワンツー
野球かよってほど振りの大きなワンツーです。
でも当たります。
速いからです。
首が千切られそうなパワーで当たったら終わります。
一発です。
左フック
ストレートを躱してもその場に留まってはいけません。
一瞬でも動きを止めたら左ボディーを肝臓に突き刺してきます。
アバラが折れそうなハードショットで、これも当たれば一発で仕留めます。
全身運動によるスピードとパワー
マクラレンは大振りでも速いからパンチが当たると既述しました。
当然先天的な性質が関わっているとは思います。
人種的な要因は確実にありますし、腱の太さや長さなど目に見えない要因もあると思います。
先天的な要因は当然あるとして、その素質を生かしているのがマクラレンの全身運動だと思います。
パンチを打つ際は弓を引くような反動動作があります。
反動動作はSSCと呼ばれる腱の弾性や伸張反射を利用する動作でもあります。
アスリートには必須といえる動作で素早く力強い動きの源です。
大振りはカウンターを合わせられるから良くないと言われますが、大振りで強い選手はいっぱいいます。
現役だとゲンナディ・ゴロフキン選手が大きなロングフックを多用しますし、ガーボンタ・デービス選手やカネロ・アルバレス選手も大振りの全身運動です。
過去の偉大な選手でいえばマイク・タイソンもナジーム・ハメドもそうです。
偉大な大振りの選手がたくさんいるということは大振りは常に悪くて、小さく打てることが常に最善ではないということにもなると思います。
無視できない恐怖 攻撃は最大の防御
既述のカウンターの餌食になるのように、大振りが常にディフェンスを損ねるかといえば常にそうではありません。
恐怖は抑止力になります。
核兵器の抑止力が核兵器であるように、カウンターへの抑止力はマクラレンの一撃必殺のハードパンチです。
多分、目の前でマクラレンのパンチが交錯するのを見たら、カウンターを狙う気は失せるだろうと思います。
下手したら死すら頭を過るパンチ力です。
鉈を振りまわす狂人を制止する常人なんていないようなもんです。
マクラレンのパンチにカウンターを合わせられるのはマクラレンと同じような狂人だけです。
時々大振りの選手を見て、カウンターを合わせればいいという意見を見ますが、そんな簡単じゃあないんです。
ハードパンチャーの予備動作を見ただけで緊張して体が硬直してしまうんです。
これこそがハードパンチャーの最大のディフェンスでもありますからね。
シンプル故に強すぎる戦略
ワンツーと左フックしかないから簡単に防げそうな気もしますが、そう簡単じゃないんです。
マクラレンは躊躇や迷いがありません。
選択肢が少ない故だと思います。
迷いや躊躇いはパンチの切れと伸びを奪います。
マクラレンにはそれが一切ありません。
最高に切れます。
距離を合わせてとにかく渾身の右。
外れたら返す刀で左を狙う。
ほんとにシンプル故の迷いの無さと鋭さを感じます。
一応は武器を所持している相手に差し違える覚悟で迷いなく鉈を振り回してくる狂人なんて、恐ろしすぎます。
僕なら震えてしまって武器を出す前に切り殺されると思います。
まとめ
ゴロフキン選手やデービス選手、ライアン・ガルシア選手のように全身運動によるパワーとスピードがディフェンスとして機能している好例だと思います。
綺麗でまとまったボクシングもいいですが、マクラレンのような全身運動で攻撃力を最大限まで高めた戦略も面白いですよね。
攻撃は最大の防御です。
もしかしたらマクラレンを目指した方がいい人もいるかもしれません。
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