
加法律
加法の大小関係
デデキント切断の準備をします。
感覚的には「任意の正数xに任意の正数y足した値はxより大きくなる」は自加法律を見れば自明です。ただ、年の為に確認します。
0<1,x(仮定)
0+x<1+x(加法律)
x<1+x(単位元)
0<1,x⇒x<1+x
任意の数xに1を出したらxより大きくなる。
0<x,y(仮定)
0+y<x+y(加法律)
y<y+x(単位元)
0<x⇒y<y+x(含意)※1
正の実数xに正の実数yを加えると、元の実数xより大きい実数zへ送られます。
マイナスの場合。x<y⇒-y<-x①の定理を用います。
y,x<0(仮定)
0<-x,-y(①)
0+(-y)<-x+(-y)(加法律)
-y<-x+(-y)(単位元)
y>x+y(①)
y,x<0⇒y>x+y(含意)
負の実数xに負の実数yを加えると、元の実数xより小さいzへ送られます。

上の記事で証明したよつに逆元には下の性質があります。
0<x<y⇒0<y⁻¹<x⁻¹
yをどれだけ大きくししてもその逆元はxの逆元に押さえつけられます。
分数の性質
逆元(分数)の性質を見ていきます。
a(仮定)
a・1(乗法単位元)
a・x・x⁻¹(乗法逆元)
a・x⁻¹・x(交換法則)
(a・x⁻¹)・x(結合法則)
a/x・x(分数定義)
a⇒a/x・x(含意)
a/x・x(仮定)
a・x⁻¹・x(分数定義)
a・1(逆元)
a(単位元)
(a/x)・x⇔a※1
の関係にあるのが分数。
実数の大小関係
2x=x+xと定義。上で証明した※1と以前別の記事で証明した0≤x≤y,z⇒x・z≤y・zを、すなわち正の実数の乗法の順序の保存則①を用います。
0≤x≤y,z⇒x・z≤y・z(①)
0+x=x≤x+x=2x(加法律)
x≤2x(推移律)②
感覚的には自明の事実ですが、形式的な証明ができます。2xはxより大きくなります。
上の≤を<へ変形します。
0<x<2x(②)
2⁻¹・x<2⁻¹・2x(①)
x/2<x(乗法逆元と分数定義)
0<x⇒x/2<x(含意)※2
以前証明した
0<x<y⇒y⁻¹<x⁻¹
とも当たり前ですが整合的。同じ作業をしているからですが。
任意の0<xについてx/2<xが成り立ちます。 「xを半分にしたらxより小さくなる」なので感覚とも整合的です。
x<y⇒0<y-x①
を用います。
任意に0<x<yを選んだ時
x+y<2y=y+y(加法律)
x+y/2<y(※1)※2
また加法律と※2より
x<x+(y-x)/2=(x+y)/2<y※3
となります。
x<x+(y-x)/2<y(※3)
x<2x/2+(y-x)/2<y(乗法逆元)
x<(y+x)/2<y(加法逆元)
x<y⇒x<(y+x)/2<y
が成り立つことが証明されました。
日本語なら、「xにyとxの差の半分を足したらxとyの間になるよね」という当たり前の認識です。
それが実数空間で起こるのかを確認しました。
x<y⇒x<(y+x)/2<y
デデキント切断の形は実数において成立します。



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