とんでもない倒し方するなと。特に右。ジェラルド・マクラレンのように躊躇なく振り抜いています。
右を思い切り振り抜くのは、相打ちや打ち終わりをカウンターされそうで恐いですよね。僕は恐い。
ホリフィールドとの打ち合いをみれば分かりますが、そもそも論として、彼らは生来的に恐怖に鈍いのだとは思います。危険なタイミングと距離でパンチを交換しながら、ほとんど動揺を見せません。
一流の試合であっても、上記のような高度な打ち合いはめったに見られるものではありませんから、それは神からの彼らへの贈り物がそうさせていると言える部分もあるでしょう。
すべてのボクサーが彼らほどの攻防一体の打ち合いを真似るのは難しいし、危険であるように思います。
ただ、自分に「やれないこと」と「やれること」は、自らで判断し線引しておく必要があります。そうでないと僕の経験上では必ず後悔します。
ボウの要素の内で取り込めるものはそうする努力はしたい。
ホリフィールドとボウの打ち合いが分かりやすいですが、見える部分だけで判断しても、腕の形から肩甲骨ロックがかなり利いているのが分かります。
例えば、両者共に相手の右を右手で防ごうとします。肩甲骨外転ロックが弱いならこうはできません。
その場合は所謂ガードの形になります。相手の右は左腕でガードし、右手でそうする傾向はほとんど見られません。現役だとサウスポーのクロフォードはこの傾向が強く見られます。
彼らがパンチの交錯を恐れないことの一つの説明として考えられると思います。肩甲骨の可動性が高いので、背中に隠れながらパンチを打てる。背中に隠られる安心感が恐怖に鈍くする。
下のジョージ・ベントンのショルダーロールが分かりやすいと思います。
布団に包まれるとおばけの怖さが中和されたり、なんとなく隙間に入り込もうとする修正がヒトにはありますが、それは母親に抱っこされると安心する本能的な安心感がそうさせていると考えられます。ホリフィールドやボウにもそれと似たようなことが起こっているだろうと。
大腰筋パンチ
次は大腰筋。
大腰筋が強い場合は、腕のスイングに連動して胸椎の側屈回旋が起こります。
必然的に頭が相手の射程からそれていくので相打ちの確率が下がると考えられます。それを何度も繰り返すと、無意識に学習し相打ちを恐れることをしなくなるでしょう。サンドバッグを恐れないようことです。
また、下の場面が分かりやすいですが、フルスイングした後はボウの背中が見えるほどに胸椎の回旋が起こっています。
空振りして、そこを狙われたとしても背を向けて走って逃げられます。あるいはそのまま振り返りざまに左フックも狙えます。相手もそれを直感するので、深追いしません。
つまり、大腰筋パンチが必然的に打ち終わりのディフェンスにもなっているわけです。
結論。
フルスイングできる能力の説明変数として、大腰筋は考えてもいいんじゃないのと。
恐いものは恐い。根性論による恐怖の克服は、たんにそれを助長させるだけの害悪。
根性は大切。だけど、現状免罪符化している節があるように思う。
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