関数列の極限を扱うときに出てきた概念なので学習します。
定義
急ぎ足でざっと行きます。
上界と下界
$\forall x \in A$について$x \leq a$の時、aはAの上界でAは上に有界であるという。
(集合Aの中の一番大きな数をとってきても、それ以上の数aがある場合、aはAの上界でAは上に有界である)。
上界は集合Aの上にある全てを指しています。
下界はその逆ですね。
集合Aの要素以下のもの全て。
集合Aからほんの少しだけ離れていても、見えないくらい離れていても関係なく全て上界 or 下界です。
$-x^2$のグラフです。
0以上が上界です。
$x^2$のグラフで0以下が下界です。
上界とか下界って上の世界、下の世界ってイメージが浮かんでしまうので上のグラフだと0を含むって定義が気持ち悪いですよね。
まあこう決めると便利だからこう決めたわけなんで、こんなことを言っても仕方がないんですけどね。僕の中にある言葉のイメージと乖離していて気持ち悪いってだけですから。
最大値と最小値
次に最大値と最小値を見ていきます。
最小値、最大値は日常でも割と使いますよね。曖昧に使ってますが。
数学ではどんな定義になっているのか。
①$\forall x \in A$について$x \leq a$が成り立つ。
②$a \in A$
最大値の定義は上界と似ています。
というか①は上界の定義ですね。②で定義の範囲を絞り込んでいます。
「①上界にあって、且つ②集合Aの要素でなければならない」と定義しています。
さっき僕が気持ち悪いって書いたところが丁度、最大値と最小値です。
$-x^2$の最大値は上界の一番小さい値の0で$x^2$の最小値は下界で一番大きな値の0。
この場合に最大値と最小値が定義できたのはどちらの場合も$0 \in A$だったからですね。
集合の要素でない場合は最大値と最小値は定義上決められません。
$\frac{1}{x}$のグラフです。
0に近づいてはいきますが0にはならないので、①は満たせますが②が満たせません。
集合Aの要素xを大きくすればするほど、小数点以降が増えるだけで、下界かつ$ a\in \frac{1}{x}$が現れることはありません。
最小値が特定できないから定義しようもないと言い換えられます。
最大値、最小値の表記はこうなります。
最大値は
$\max f(x) = a $
最小値は
$\min f(x) = a$
f(x)の部分は集合をさします。
$\max A = a$
日本語に翻訳するとある集合Aの中の最大値はa。
上限と下限
①$\forall x \in A$について$x \leq a$が成り立つ。
②どんなε(小さい数を想定)を選んでもa – ε < x < aとなるような$x \in A$が存在している。
上限の定義も上界の定義を絞り込んだ形になってますね。
どんなに小さなεを設定したとしてもaとxの間には無限に小さい値が存在しているのなら、上限を定義できます。
このグラフの場合だと、0が下限になります。
0は下界なので定義の①を満たします。
またどれだけ小さなεをとってきたとしても0へ向かってどこまでも小さくなっていくグラフなので、a – ε と a の間に集合Aの要素であるxが存在しており②を満たします。
$-x^2$のグラフです。
0は上界なので①を満たします。
またどんなに小さなεを選んでも$-x^2$の要素xでa – ε < x < aを満たせるので②も成立します。
定義より0が上限となります。
このことから上限とは上界の中で最も小さな値で下限とは下界の中で最も小さな値であることが分かります。
上限は
$\sup A = a$
集合Aの上限はa
下限は
$\inf A = a$
集合Aの下限はa
で表します。
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