割り算 その五

暇つぶしに見て

乗法の0元以外で0を作れないのか、と。すなわち、0以外の元同士を作用させてx・y=0の結論を得られないのかと。

割り算 その四
公理主義実数論には"0を除いた"実数に乗法単位元と逆元が定義されています。 それは何故か。 この話は以前触れたような気もしますが、割り算について考えるがてら、もう一度その理由について考えてみます。 除法その三で、0の乗法は任意の数に対して0...

背理法を用います。

x≠0∧y≠0⇔x・y=0

x≠0∧y≠0⇒x・y=0(前提)
x(仮定)
x・1(乗法単位元)
x・y・y⁻¹(乗法逆元)
(x・y)・y⁻¹(結合法則)
0・y⁻¹(前提)
y⁻¹・0=0(交換法則)
0(0の乗法定理)
仮定と矛盾。
従って、背理法によりx≠0∧y≠0⇒x・y≠0が導かれます。

xに関しても同様。

x・y=0ならばx=0またはy=0。あるいはx=0かつy=0。

次。

x・y≠0⇒x≠0∧y≠0
の証明。
対偶を用います。

x=0∨y=0⇒x・y=0
場合分けし
x=0,y=0,x=0∧y=0の何れの場合もx・y=0は妥当となります。

必要十分条件を満たすので
x≠0∧y≠0⇔x・y=0
が成立します。

また、
x≠0∧y≠0⇔x・y=0
が妥当であることは、その対偶が妥当であることも保証します。
0a=0
の定理とも整合的。

論理的妥当性の再帰的な構造
ここまででようやく数学の始まりがぼんやりと見えてきました。出発は人の認識。その認識を一般化した演算規則によって公理の構造を変形させ、普遍的な法則(理論)を見つけていく。それがのちに意味を帯びてきて現実への応用される。 数学の議論の再帰的な構...

除法y・x⁻¹=y/xに関しても同様。

x=0∨y=0⇔x・y=0
と同値。

乗法除法においてx・y=0はx,yの何れかが0となります。

マイナス×マイナス=プラス

乗法の加法逆元の定義より
(・+y)を0にするような逆元-(x・y)を0にするような加法逆元が存在します。
(x・y)+(-(x・y))=0

また、
(x・y)+(-x・y)(仮定)
y(x+-x)(分配律)
y・0(加法逆元)
0(乗法単位元)

(x・y)+(-x・y)=0
(x・y)+(-(x・y))=0

同じ要素に作用させて同じ結果を導く要素は同じであることを示す乗法一意性の定理により
-(x・y)=-x・y

同様に
-(x・y)=x・-y

具体的には
-(2・3)=-2・3=2・-3=-6
であること。

これは
-x・-y=x・-(-y)
と変形できることを意味します。

逆元の逆元は元の元であることも証明済なので
-x・-y=x・-(-y)=x・y
マイナス×マイナスがプラスであることをが示せました。

-1・-1=1

「後ろの後ろは前」
な導出できました。恣意的に決められたようにも見える規則で、ヒトの自然な認識が現れるのは面白いですね。

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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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