もがき苦しんだ成れの果てが「股関節おじさん」

プライベート

理論なんて言ってしまうのはおこがましいのですが、僕は世の中に散らかったままだったボクシングの技術や戦略をある程度体系化し整理できている自信を持っています。

東京から沖縄へ移住してきた長岡は聞くと東海大学大学院のスポーツ系学部卒。
力学や生理学、解剖学の話を噛み砕かなくてもすんなり受け入れられるのは、こんな過去があったからなんですね。

彼のような専門家にも認められたことで、さらに自信を深めました。

時々どんな風に思いついたのかを長岡に聞かれます。
実は長岡以外にも大学院を卒業して科学系の仕事をしている方達にも僕がどうやってこの話を思いついたのかをよく聞かれます。
専門的に学んだ方達は僕が独学で股関節おじさんになったことを不思議思うみたいです。

しかしなかなかきっかけを思い出せなくて困ります。
今回は現役時代を回想してまとめてみます。

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降りてきた

きっかけは「ブレーキ効果」の発見です。
体幹を制止すると腕が加速するのを感じました。
そしてその理由を考えていくうちに、振り子の加速との関連を閃きました。

元々は子供の頃から探究心が強かった僕はボクシングの能力を強化するために勉強を始めました。

本屋へ行って、なんとなく僕の知りたい内容が書いていそうなこの本を買って読んでみました。
コリオリや慣性力と言った力学の基礎知識すら知らなかった僕は「?????」と吐き気をもよおしたわけです。表紙の印象と違いすぎ。新手の詐欺に憤りを覚えました。

しかし、「世界王者になる男がこんな程度で諦めるだろうか?」と自問自答。
次にこの本を買いました。

バイオメカニクス、日本語だと生体”力学”です。
タイトルの通り、当然この本も「力学」が前提とされていました。
普通に力学の専門用語や数学の専門用語が飛び出してきます。
それらを理解していることが前提だったんです。
あまりの深さに唖然としました。

この本は10回くらい吐きましたね。
素人には難しすぎます。
「太陽系惑星の軌道から太陽の質量」を求めているのに気がついた時、自分がついに正気を失っていることに気がつきました。
正気に戻ったと同時に、「力学ってこの世界をこんなに正確に説明できるのかー。すごいな。すごい深さだー」と震えました。

しかし学問はもっともっと深い。
大枠が整理されればされるほど、細部は散らかっていく。
学んだ知識で「情報空間にもエントロピーの法則が働いている!」と科学者にでもなった気分でした。

で、力学は数学が前提なんですよ。
ネイピアとか微分積分の概念の理解が必要になりました。

深淵に落ちてしまいました。
しかしここまできたら意地です。
手に入れたものは捨てたくないというホメオスタシスが働いて、微分積分の勉強を開始。

しかし、これは途中で気がつきました。
流石にボクシングには関係ない、無駄だと。
なので、今は趣味として時々読み進めて理解しています。

もがき苦しみながらですが、ここまでくるとある程度の力学的な知識は理解できるようになりました。
専門用語を見ても怯みません。むしろワクワクします。

で、次は筋肉について学ばなきゃなーとなりました。
骨格の構造を理解しないと力学が活かせません。
ホメオスタシスが発動し今度は解剖学。

石井直方先生の本をあらかた読んでなんとなく人体の仕組みを理解しました。

で次にこの本の筋肉を暇があれば眺めていました。
はじめに力学を勉強していたので、筋肉が付着している場所や骨格の構造を見ているとなんとなく筋肉の動き、関節の動きが理解できました。

妻に人体模型を買っていいか訊いてみたんですが、「理科の先生かよ馬鹿野郎、一体どこに置くんだ」で即却下。

仕方なく次のこの本。
頭の中の人体模型を動かします。
上の本で大体構造と働きを理解していたので、すんなり頭に入ってきました。

次にこんな感じの野球やゴルフのバイオメカニクスの本(タイトル忘れた)を読んでいきました。
力学や解剖学の簡単な考え方が頭に入っていたので、一切のストレスなしに一瞬で理解できました。
その中でブレーキ効果に近い考え方や運動連鎖などの概念に触れました。
原理は記されていなかったのですが、「おそらく力学的にこんな現象が起こっているんだろう」とか、「解剖学的にこんなことが起こっているんだろう」と勝手に推論が働きました。
おそらく潜在意識の超高度な計算能力が発揮されていたんだと思います。

本題ですが、僕は理論を考え出した感じは一切していないんです。
なんか思いついたというか、気がついたらそこにあったというか、そんな感じです。

おそらく潜在意識の計算能力が稼働して詰め込まれた知識を整理してくれたのだと思います。
別々に脳へ入力されたはずの情報が気がつくと勝手に体系化されているというんですかね。
例えば、情報を入れたら始めはその情報は頭の中の空間にバラバラに配置されている感じがしますよね。
でも気がつくとバラバラだった情報は情報同士の距離が調整されて、意味が近いもの同士は近い位置に、意味が遠いものほど遠い位置に整然と配置されています。
意味的な配置ができあがってくると、位置関係から関係性をなんとなく考察できるようになっていきます。

感覚としては見知らぬ土地に飛ばされて失われた方向感覚が、そこを動き回るうちに徐々に取り戻されるのに近いと思います。
時間が経てば考える間も無くどこに何があるかは直感できます。

物理空間を認識する脳の領域と情報を配置し論理を構築する情報空間の認識に使われる領域が同じだからだと考えています。
物理空間での東西南北や建物などの位置関係を理解するのに使う能力を意味的な東西南北の設定と情報空間における意味的な位置関係を理解するのに利用しています。
だから似たような感じがするんだと思います。

知らない街でも長らく住んでいると何となくどこに何があるのか、考えなくても直感できるし方向や距離感も思い浮かびますよね。
あれと同じです。

時々、僕が知っている「コツ(感覚)」の力学的、生理学的原理が突然頭に浮かぶことがありました。
「肘をあげると体の重さが増える」とか、「身体を加速させる音を鳴らす」とか「円を描くと腕が軽くなる(慣性モーメントを小さくする)」「地面に体重を沈ませる(多分サイレントピリオドを感じていた)と反発が強くなる」、「走りながら骨盤を前傾させると力が送られる方向が地面から背後に変わる(身体を押す影みたいな奴が下から後ろに動く)」「上半身で骨盤を押さえつけると肩の力が抜ける(因果関係が逆になってる)」などなど。表現は変ですが、コツの原理が突然閃くんです。

今でこそ原理を説明できますが、ボクシングを始めた当時は抽象的なイメージがあるだけでした。
知識が頭に入れられて整理されるうちに脳の潜在意識が僕の持っていた感覚のイメージと知識を結びつけたんだと考えています。

潜在意識が勝手にやってくれて、顕在意識である僕がそれを発見する。
この繰り返しです。
この発想も僕が自分自身の弱い心を克服するために読んだ脳神経学の本の知識を潜在意識が勝手に体系化してくれてくれたのだと考えています。

アントニオ・ダマシオ先生の意識に関する発想がとっても面白いのでオススメします。

まとまりがなくなってきたのでこの辺で終わります。色んな本を読んでいるうちに段々出来上がったって感じです。

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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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