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その一の続き。
今回の話の大前提はその一に記載しました。今回の記事の意味が分からない場合はその一にヒントがあると思います。
今回のは本格的なロシアンフックの小前提、あるいは練習方法やコツの掴み方程度です。
まずは背屈ロック。
これは日常生活レベルの動作が影響します。すなわち、生来的な強さがない場合は、見様見真似しても背屈ロックができない確率が高いです。僕が観察する範囲では8割が間違えます。
自転車に乗れない人にはオートバイの運転が難しいようなこと。まずは自転車を乗れる必要があります(肩甲骨ロック骨盤前傾)。
橈骨を支点に母指球をねじ込むようにして背屈です。そうしないとゲンコツが当てられない上に、肘のロックが弱くなります。
次はラリアットができること。
ここでのラリアットは、肘を伸ばしたままで腕を振りまわすこと。※背屈で肘はロックされる。
注意すべきは”腕で”振り回すこと。体の遠心力で振り回そうとするのが大半です。後者の場合は肩甲骨ロックの筋力が弱いと考えられます。
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懸垂で鍛えられますが、これも生来的にある程度の強さを持つか、ないしは筋肉や骨格の関係を理解していないと僕の推奨するやり方になりません。
弱者が強者のトレーニングを真似しても同じ効果は出せません。所与の骨格が異なるから。同じ練習で圧倒的な差が生まれるのは、部活動レベルでも顕著に表れます。
例えば、腸腰筋が強く骨盤前傾が強い人と、後傾している人とでは同じスクワットの効果が根本的に異なります。前者はハムケツ、後者は前腿に効きます。ハムケツは体の推進、前腿はブレーキ。同じトレーニングが逆に作用します。
この差は、後者が必死に考えて合理を導くか、あるいは正しいやり方を教えてくれる人と出会うまでは縮まりません。
所謂懸垂も弱者の認識が支配的です。仮に前鋸筋小胸筋を鍛えるのが懸垂だとした場合、大胸筋や上腕三頭筋の構造を合理化する、パンチ力に直結したトレーニングだと解釈できます。
一方で、広背筋を鍛えるトレーニングだと思って努力する人もいます。むしろ大半はそう。広背筋はむしろ腕を引いてその推進力を低下させます。すなわち同じトレーニングが逆効果を生む可能性もあるわけです。
他にも、腸腰筋前鋸筋小胸筋が形成する湾曲した背中を、肥大化した筋肉であると錯覚。背中を鍛えればパンチが増す、と錯覚するようなことが起こります。既述のように無意味どころか逆効果。
「自分は元々強い肉体を持っているから大丈夫」と、ほぼあり得ない仮定をするのか。あるいは、きちんと筋肉や骨格の構造を理解するかの二択です。僕の経験的統計では、大方は前者を選びます。これは科学的な研究とも整合的。
YouTubeには「自分は能力があるのですが…」と責任転嫁から始まる自己紹介をする人もいます。
ダニング=クルーガー効果(ダニング=クルーガーこうか 英: Dunning–Kruger effect)とは、ある特定の分野において能力の限られた人が、自分の能力を過大評価してしまうという認知バイアスのことである。
ダニングクルーガー効果は社会が弱者の認識で支配的である理由を説明してくれます。
自分を信じることは大切です。しかし、そこから「自分は愚かな怠け者である」という前提が抜けると、堕落するだけ。他人の足を引っ張るしか能のないクズになります。
閑話休題。
結論。背屈ロックとラリアットと手打ち。コツを掴んだら細部を削る。陶芸や彫刻、デッサンと同じ。まずは大きく作り、その後で細部を削る。逆になると出来上がりはむちゃくちゃになる。
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