ベクトルの三角不等式
絶対値の三角不等式の証明は以前作成した気がしましたが、検索しても出てこないのでやります。
幾何学的には下の画像が分かりやすいと思います。
ベクトルのノルムの加法です。
(退化した場合も含めた)三角形の三辺が x, y, z で最大辺が z とすれば、三角不等式は
$\displaystyle z\leq x+y$
が成り立つことを主張している。
等号が成立するのは三角形が面積 0 に退化したときに限る。
ユークリッド幾何学ほかいくつかの幾何学において、三角不等式は距離に関する定理であって、ベクトルやベクトルの長さ(ノルム)を用いて$\displaystyle \|\mathbf {x} +\mathbf {y} \|\leq \|\mathbf {x} \|+\|\mathbf {y} \|$
と書くことができる。ここで、第三辺の長さ z がベクトルの和 x + y で置き換わっていることに注意。x, y が実数のとき、それを ℝ1 のベクトルと見れば、三角不等式は絶対値の間の関係を記述するものとなる。

z=|x+y|≦|x|+|y|
一次元のノルム(絶対値)
|x+y|
1:(0<x, 0<y)⇒|x+y|=|x|+|y|
2:(x<0,0<y)⇒|x+y|<|x|+|y|
3:(x<0,y<0)⇒|x+y|=|x|+|y|
4:(0<x,y<0)⇒|x+y|<|x|+|y|
があります。
組み合わせ的に
$|x+y|≦|x|+|y|$
になります。
両者を展開すれば
$|x+y|^{2}$
絶対値は二乗すれば正も負も正になるので、そのまま絶対値を外して
$(x+y)^{2}=x^{2}+2xy+y^{2}$(展開公式)
式変形的にも成立します。
$(|x|+|y|)^{2}=|x|^{2}+|2xy|+|y|^{2}$(展開公式)
絶対値の定義より
$|x|^{2}=x^{2}$
両者から同値な値を引けば$|2xy|と2xy$が残ります。
絶対値の定義より(場合分けして)
$xy≦|xy|$
よって
$|x+y|^{2}≦(|x|+|y|)^{2}$
平方根を外して
$|x+y|≦(|x|+|y|)$

ベクトルの三角不等式

再びこの画像に戻ります。
視覚的に$|\boldsymbol{x+y}|$を$\boldsymbol{x}$と$\boldsymbol{y}$の影の長さの和として捉え直せば、辺の比を用いて
$\boldsymbol{x}cosθ+\boldsymbol{y}cosθ=|x+y|$
と表せます。
$cosθ$の値域は
$-1≦cosθ≦1$
なので
$|\boldsymbol{x+y}|≦|\boldsymbol{x}|+|\boldsymbol{y}|$
記号操作的には
$(|\boldsymbol{x}|+|\boldsymbol{y}|)^{2}$(仮定)
$|\boldsymbol{x}|^{2}+2|\boldsymbol{xy}|+|\boldsymbol{y}|^{2}$(乗法展開法則)
$|\boldsymbol{x+y}|^{2}$(仮定)
$\langle \boldsymbol{x+y,x+y} \rangle=|\boldsymbol{x}|^{2}+2\langle \boldsymbol {x,y }\rangle +|\boldsymbol{y}|^{2}$(内積)
$\langle \boldsymbol{x,y} \rangle≦||x・y||$(コーシー・シュワルツ不等式)…①
よって
$|\boldsymbol{x+y}|^{2}≦(|\boldsymbol{x}|+|\boldsymbol{y}|)^{2}$(①より)
$|\boldsymbol{x+y}|≦(|\boldsymbol{x}|+|\boldsymbol{y}|)$(平方根)
三角不等式が導出されました。
コーシー-シュワルツ不等式
$|\langle \boldsymbol{x,y} \rangle|≦|\boldsymbol{x}|\cdot|\boldsymbol{y}|$
- 含意関係: 「コーシー=シュワルツの不等式が成り立つならば、そこから三角不等式が導かれる」という一方向の含意(\(\text{コーシー=シュワルツの不等式} \implies \text{三角不等式}\))が成立します



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