数学的帰納法
無理数って何?→アルキメデスの性質って何?→無限大や無限小って何?→無限はどう対処するの?(今ここ)
「無限大」というのは、「どの実数よりも大きな数」という形で捉えられていると思われるが、特定の数を表しているわけではなく、「いかなる数よりも大きい状態」を表しているというのがより正確ということになる。従って、「∞」(無限大記号)というのは、「どの実数よりも大きな数を表す記号」ではなくて、こうした「いかなる数よりも大きくなるという状態を表す記号」ということになる。ただし、実際には、特定の数を表しているかのような(誤解されやすい)形で使用されているケースも多いものと思われる。
前を参照して次が必ず現れる論理的な構造が「無限大」「無限小」。


無限を省略できる構成が数学的帰納法。
数学的帰納法(すうがくてききのうほう、英: mathematical induction)は、数学における証明の手法の一つである。
例えば自然数に関する命題 P(n) が全ての自然数 n に対して成り立つことを証明するために、次のような手続きを行う[注 1]。
1.P(1) が成り立つことを示す。
2.任意の自然数 k に対して、「P(k) ⇒ P(k + 1)」が成り立つことを示す。
3.1と2の議論から任意の自然数 n について P(n) が成り立つことを結論づける
べき乗
実数 x の正整数 n 乗は、素朴には、n 個の x を掛け合わせたものである。厳密には、次のように再帰的に定められる。(∗)x¹:=x,(∗∗)xn+1:=xⁿ×x(n≥1).x0
を定義する場合には、関係式 (∗∗) が n = 0 でも成立するように定義を拡張するのが自然である。

実数の定義引用WIIS
「無限」の取り扱い
実数は定義からアルキメデスの性質が成り立ちます。なので、実数全体や自然数全体に成立する性質を導こうとすると、一つづつ証明するのでは永遠に終わらせられません。
数学的帰納法は無限回の証明を省略する為のお作法。数学的帰納法が成立するなら、無限回の証明をしなくても無限回の証明を完了したと認められます。
数学的帰納法の手順は単純。
1.∀aₓ∈AにPが成立すると”仮定”するなら、aₓ₊₁においてもPが成立することを証明する。
2.a₁においてもPが成立することを証明する。
以上を完了させられたなら、無限回の証明を終わらせて、Aの全てのaがPを満たすと見なせる。
「任意のドミノがその次のドミノを倒すことを約束するなら、初めのドミノを倒せば、全てのドミノが倒れることが約束されるでしょ?」が数学的帰納法の気持ち。論理的な自己増殖構造。
これは僕の感覚とも整合します。きっとあなたの感覚とも整合するだろうと思います。
ヒトは普遍的に、この論理的なドミノを認めると思います。「違う」と言う人はいないはず。全人類が認めるのだから、仮に数学的帰納法を構成したなら、無限回の証明を省いても文句をいう人は居ません。従って「無限回の証明をした!」と宣言できます。
「じゃあ、数学的帰納法でさかのぼれない世界、例えば宇宙の始まりについては、”ヒトの認識では”、あるいは”ヒトの言語では”、議論することはできないかもしれないね」という長年の疑問が頭をもたげてきます。
ここから先は現時点では哲学になるのかな。
例題
1+2+3+…k=k(k+1 )/2(※1)
が自然数において成り立つことの証明。
k番目までを足し合わせた場合の法則。
1において成り立つことの証明
k=1(仮定)
1(1+1)/2(代入法則)
(1・1+1・1)/2(分配法則)
2/2(乗法単位元)
2・2⁻¹(分数定義)
1(乗法逆元)
1=1(①)
数学的帰納法の手順1が完了。
次は任意のxで※1が成立すると仮定した場合にx+1においてもそれが成り立つことを証明します。
k=xの場合は※1は
1+2+3+4…x=x(x+1)/2
です。これを真だと仮定し
1+2+3+4…x+x+1=x(x+1)/2+(x+1)
が成り立つのかを確認します。
x(x+1)/2+(x+1)(仮定)
x(x+1)/2+(x+1)・1(乗法単位元)
x(x+1)/2+(x+1)・2・2⁻¹(乗法逆元)
x(x+1)/2+2・(x+1)・2⁻¹(交換法則)
(x(x+1)+(2(x+1))・2⁻¹(分配法則)
((x+1)(x+2))・2⁻¹(分配法則)
((x+1)(x+2))/2(分数定義)②
x+1=k
とおけば
k(k+1)/2
と※1と同値に変形できます。
①②より、数学的帰納法の要件を満たしましたので、任意の自然数において
1+2+3+…k=k(k+1 )/2
は成立すると言えます。
例題2
1⁰+2¹+2²+…2ⁿ⁻¹=2ⁿ-1※1
を証明。
n=1の場合
左辺
1⁰=1(0乗の定理)
右辺
(2¹=2)-1=1(∗∗)
2⁰=2⁻¹-1=1(推移関係)
2⁰=2⁻¹-1(同値関係)①
nで※1が成立するならn+1でも※1が成立すると仮定(数学的帰納法)。
1+2+2²+…2ⁿ+2ⁿ⁺¹=2ⁿ⁺¹-1(仮定1)
1+2+2²+…2ⁿ=2ⁿ-1(数学的帰納法仮定)②
(2ⁿ-1)+2ⁿ⁺¹(仮定1へ②を代入)
2ⁿ+2ⁿ⁺¹-1(交換法則)
2ⁿ⁺²-1(べき乗∗∗)補足1
(n+1⇒n)⇒(n+1⇒n+2)と変形してもを意味は変わりませんので、数学的帰納法より、任意の自然数に対して
1+2+2²+…2^(n-1)=2ⁿ-1
が成り立つことが証明されました。
補足1
x+x=2・x
同じ元を足し合わせる⇒同じ元が二つ⇒二倍する
すなわち
2ⁿ+2ⁿ=2・2ⁿ=2ⁿ・2=2ⁿ⁺¹(べき乗定義∗∗)
と変形が可能になります。




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