トレーナーと選手の関係性と競技力

トレーニング

ボクシング教室で沢山の人と出会って色々な話を聞かせて頂きました。聞けば聞くほど悩みも目標も本当に千差万別であることが分かってきます。
「テニスの為」という方には仰天しましたが、護身術に合気道といった実用性を求めて習いに来る方、単に「探求心」に突き動かされている方もいました。

皆さんは長濱拳法を習いに来ているわけなのですが、人それぞれ大切にしていることの優先順位が異なるから、僕と同じように強くなれればいいわけではないのです。

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ボクシングはアート

自分ありき

人にはそれぞれ、それまでの人生で大切にしてきた信念があります。
ボクシングは皆さんにとって、それを世界へ向かって解放すること、他者に自分の信念を承認させる方法なのだと僕は思います。

あなたがかっこいいと感じるスタイルこそ、あなたが表現したいスタイル、信念です。
GGGが好きな人、メイウェザーが好きな人。
極論を言えば強いかどうかは置いといて、自分が好きなスタイルで自分を最大限表現したい、というのが正しいのだと僕は思います。

もっと言うとトレーナーや会長など、誰かの信念を表現するのは嫌で、自分の信念を表現したいのでしょう。
僕はそうです。僕が力学や生理学にまで手を出して自分なりにボクシングを理論化したのは、誰かではなく自分自身を表現したいからだと今になって分かってきました。
スタンス、打法、ディフェンス、スタイル。
僕の信念が全身に宿り始めていることに喜びを感じています。

今回の合宿で色々なトレーナーの助言を受けながら感じました。
僕はなんでもいいわけではないのです。

僕の問題を指摘してくれる助言はどれも論理的には納得のいくものなのだけど、何故だかしっくりこない。やりたいと思わない。
それはきっと、「それは僕ではない」と僕が直感したからなのだと思います。

頂いた助言をそのまま取り入れるのではなく、それを咀嚼して本質だけを抽出し、自分のやり方に落とし込むことが大切なのだと気が付きました。
指摘された懸念に対して「自分ならどうするか?どうしたいか?」と主体的に考えることで納得して消化できます。

例えば「足を使った方がいい」という指摘がありました。
僕はその意見には納得したものの、足を使うアウトボクシングには動機が働きませんでした。
ただ、僕と同じ問題を認識していることだけは分かりました。
「足を使った方がいい」という指摘を分解してエッセンスだけを抽出してみると1.プレッシャーで下がらされているように見えること、2.ロープ際のディフェンスで危険に見えることを指摘されているのだと僕は理解しました。

そこで僕は僕なりの解決策を用意しました。
解決策が「僕ありき」でストレスがありませんから、すぐにものにできました。

僕はこれが競技力の向上において見落とされがちな重要なことであると感じました。
スポーツの目的が自己表現であると仮定すれば、指導者の仕事にある程度方向性を持たせられるのではないかと思います。

指導者は選手の表現の手助けをする

上記のような指摘を受けた時にそれを抽象化して自分なりのやり方に落とし込むためには膨大な経験と知識が必要になります。
僕は僕の世界があるから、他者の世界からの干渉を防ぐことができました。
しかし、僕がそうであったように、ボクサーに最初から世界観があるわけではありません。
経験を通して築かれていきます。

指導者に求められるは自分の世界観を押し付けることではなく(それがどんなに優れていたとしても)、選手がどんな世界観を持っていて、どんな世界を表現したがっているのかを読み取り、それを表現する手助けをすることです。
一方で選手には自分を理解することが求められます。
自分とは何か?を理解することは簡単なことではありません。
精神的な自立が求められます。

指導者は「選手ありき」選手は「自分ありき」が競技力向上の原則です。

「自分がやりたいことを優先する指導者」と「自分がやりたいことが明確になっていない選手」は最悪の相性です。
指導者は選手が言うこと聞かないと、選手は指導者が無能であると、互いに責任転嫁するから。
相手が問題を解決してくれると、互いが互いに依存した関係です。

指導者は選手が表現したいスタイルを読み取り、その実現を妨げる足枷を取り除くことに焦点を当て、選手は自分の表現したいスタイルを理解し、指導の内容を自分なりに翻訳して自分の世界に溶け込ませる必要があります。

選手と指導者の両者が自立した関係を保ったとき、競技力は向上するのです。

指導に限らず、人間関係に求められるものは常にそうですよね。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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