鈴木悟さんのコラボ 因果関係を見誤ってはいけない

プライベート技術

初のコラボ動画です。
普段一人で喋っているので議論するってのも面白いなと思いました。
議論大好きなんでね。

本格的な議論となると言葉の定義とか必要になって話が入り組んでいくんで、Youtube受けは悪いと思いますけどね。

今回も言葉の定義とか論点がめちゃくちゃなんで一見すると話の一貫性が無いように見えます。

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論点の違い

パンチを押し込む

今回は押し込むって話だったんですけどね。話が脱線しています。
これは僕とあの場にいた方々の議論を行う前提が違っていたからです。

前提として、「押し込む」は大枠である手打ち集合の要素の一つです。

簡単に解説します。

パンチの衝突の瞬間、全身は反射による筋力発揮でサンドバッグからの反作用を跳ね返します。
「拳を押し込む」というのは当たる”瞬間”に全身の筋力発揮のタイミングを合わせる意識です。
速度のスパイクで拳を衝突させるためとも換言できます。

spike の意味 ー ニュース記事でよく見る"spike"とは - Fukuoka English Gym

補足
尖っている部分がスパイクです。
当たる瞬間にスパイクを作って衝突させますが、その意識が「短く押し込む」です。

ハードパンチャーはスパイクで当てるのが上手いってこと。

「押し込む」は自動システムによる全身の協調動作を呼び起こすパスワードの一種だと考えています。

あの場にいた僕以外はこの前提を知りません。
無理やり話を切り離そうとして失敗しました。

パワー

P={dW \over {dt}}

押し込むをもっと厳密に言うとこう。

仕事量の時間微分。
単位時間当たりどれだけのエネルギー(仕事)を標的へ与えたのか。

与えられたエネルギーが大きければ大きいほど物体の運動は激しくなります。
「接触時間を短く」とは短い時間で大きなエネルギーを標的へ伝えることを意味しています。

Wikipedia

股関節おじさんと三冠王の論点

今回お互いに異なる打法を支持しています。
大まかなメカニズムは同じですが、起点が異なっていることを以下では解説していきます。

まずは鈴木さんと僕の論点を明らかにします。

お話にありました動作のフェーズ分けから。
「テイクバック→スイング→フォロースルー」

テイクバックが動作の起点となることから意識的なテイクバックを動作の起点にしよう、という論理。
鈴木さんはこの打法を支持していましたが、これは間違いです。

テイクバックの因果関係を掘り下げながら解説します。

テイクバック動作

結論から言えば、テイクバックは反射により自動的に行われるので意識してはいけません。
ボールを投げる時、バットをスイングするとき、走る時、ジャンプする時。
テイクバックから動きを作りますか?強く動作を行おうとすればするほど大きなテイクバックが行われますが、これは反射により自動制御されるはずです。
力のイメージを形成するニューロン回路の発火の強度に同期した運動神経が運動の強度に合わせて筋弛緩を起こします。これほど高度な計算を一瞬で行うことは意識的には不可能です。意識のクロックサイクルでは「脱力→筋力発揮」なんて芸当はできないんです。
ニューロンは経験的統計によって導き出した答えを保存していますから、反射に任せれば一瞬でその処理を行えます。
意識的な動作は反射によって行われるこの自動制御を抑制します。

また意識的で不自然なテイクバック動作は相手へのテレフォン動作となり危険です。

ではテイクバックが何故起こるのかを考えてみましょう。

腕のテイクバック動作の場面。
後ろへ引かれているように見えますよね。

腕が後ろへ残る = 後ろへ腕を引く

の等式が成立してるのでしょうか?

結論を言えば、違います。
以下それを解説していきます。

テイクバックを起こす因子の一つは慣性です。
手打ち打法で動作を始動したとしても、自動システムによる制御によって体幹の先行運動が起こります。

また筋力発揮の瞬間は腕の筋肉が一瞬弛緩し体幹の力が腕へ伝わらなくなるため、慣性により腕はその場に留まります。

また筋弛緩により腕は重力の影響を受け落下します。
体幹の力が先に伝達される肩の先行による腕の回転力と肘関節の回転方向の制限によって、腕は後方へ流れることになります。

これがテイクバック動作の原理です。

腕は引かれていません。
慣性によりその場に取り残されて、重力により落下しているだけです。

腕が後ろへ引かれているように見えるから腕を引く?

「因果関係を見誤って問題が上積みされる」の典型です。

そもそも脱力によって慣性力、重力といった外力を運動に取り込むのがサイレントピリオドが起こる理由ですから、意識的な動作(力み)はそれらの力を損なわせます。

本当の議論をするのは勝負を決する時だけって決めてます。
相手の首根っこ掴まえた瞬間に捻じ伏せます。
それまでは「うんうん」てやります。
それがかっこいいと思ってます。

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僕みたいに尋常ならざる数学や力学に関する興味がないと読み進めることはできません。
でもこれより身の回りの現象を合理的に説明する方法はありません。

Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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