パンチ力とハンドスピード向上に繋がる手打ちのメカニズム

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簡単に手打ちのメカニズムについて解説します。
科学的に検証できるわけではないので、全て僕の脳内でのシミュレーション、仮説です。

ブログを熱心に読んでいて僕が直接指導する長岡はこのメカニズムを説明せずとも理解していましたが、飛び飛びでこのブログを読んでいたりすると手打ちのメカニズムを理解できずに手打ちに専念する動機がはたらきづらいと思って整理してみました。

手打ちの全体的なメカニズムだと思ってください。
細部は変わっていくと思います。

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手打ちのメカニズム

まずは以下の動画をご覧ください。

①脳内のイメージが起動

パンチのイメージを形成しているニューロンが発火、神経インパルスが発生し全身の運動神経が刺激され、協調して動作を開始。

「腰を回そう」という言語ではなく、イメージによって脳は体を動かしています。
言語を持たない赤ちゃんが歩ける理由です。

意識的に全身を協調させるのではなく、無意識の自動システム(造語)によって全身を協調させるって発想なので直観に反する方法かもしれませんが、恐らく運動においてはこれが正解です。
自動システムについては後述します。

②股関節への乗り込みを開始

イメージによって動作が開始されます。
最初はエネルギーを貯蔵する動作。

これは自動的に行われます。
既述の自動システムがこれを行っているわけなんですが、「勝手に身体が動く」ってことには強い違和感を覚えると思います。
僕もこの仮説へたどり着いた時に違和感を覚えました。
なので簡単に解説します。

自動システムについて

ジャンプ動作の直前の股関節屈曲、投球直前の片脚への荷重などなど。反動動作って自動的に行われますよね。
というか、運動は完結するまでほぼ自動制御(意識的ではない)されていませんか?
歩く動作で股関節や膝関節、肩関節、肘関節などの屈曲伸展を意識しますか?しませんよね。
勝手に動かされているはずです。

人間は「意識」を獲得してしまったが故に「意識が身体を動かしてる」と錯覚してしまいますが、「無意識の自動システム」が身体を制御しています。
※長濱説だけどね
意識がやっているのは観察です。

進化論の自然淘汰の原理によると遺伝子の突然変異は古い構造の上に累積されていきます。
実際に人間の大脳の構造を見ると、動物だった頃の構造に上書きするような構造になっています。

Neuroinfo Japan:脳とそれをささえる器官のしくみ

経路依存性です。
原始的な脳である小脳に覆いかぶさるような部分が比較的新しい領域である大脳新皮質です。

血液を通して伝達された情報を最初に処理するのは頸動脈に近い位置にある小脳で、大脳は小脳の後に処理を開始します。

この構造から、人間の運動に関しても動物だった頃のシステムが流用され、上書きされているだろうと推論できます。

動物は言語を持ちません。
体の部位をきちんと認識していない可能性もあります。しかしそれでも人間より器用に身体を動かします。
意識は後付けです。娘の動作学習を観察しながら、言葉を持たぬ0歳児が何故学習できるのかに強烈な疑問を感じたことが発端でこう考えるようになりました。

動作が意識的に行われているってのは人間の勘違いです。

経路依存性
経済分野で経路依存性という概念が生まれたのは、キーボードの配列に関する議論でした。タイプライターが主流だった時代、あまり速くタイプするとタイプライターが壊れてしまうため、あえて打ちにくい配列になったといわれています。人々はその打ちにくい配列に慣れ、パソコンの利用が主流となった現在でも、キーボードはタイプライターのレガシーな配列を引き継いでいます。

経路依存性

脱線するので自動システム論はこの辺で終わります。
人間の運動は自動システムが制御しており、スポーツでそれを起動するにはパスワードが必要です。
以下のリンクがパスワードの一部。

自動的に行われる股関節への乗り込み動作が意識的な「膝を曲げる」「踵を上げる」の干渉を受けた場合、次の動作が弱くなります。

③荷重による股関節の活性化

股関節への乗り込み動作はエネルギーを貯蔵する作業です。

パンチも投球時と同じように投げる方の腕の股関節へ荷重しエネルギーを貯蔵しています。
このエネルギーが次の動作の推進力を生み出します。

もし既述のように「膝の屈曲」「母指球荷重」意識があると、関節がクッションの役割を果たして重力による位置エネルギーの最大限の活用を妨げます。

足を伸ばせという意味ではありません。
全身は連動して動くのである程度は膝は自然に曲がるはずですし、スタンスによっては踵も上がるでしょう。

リラックスして自然体でいればデノーシスアクションにより股関節、膝関節、足関節の筋腱は連動してロックされます。

④手打ちによって肩腕が収縮

肩甲骨と腕を動かす背中、肩、上腕の筋肉が収縮を開始するということは作用反作用の法則が働きます。
これは物理空間に存在しているすべての物質に今のところは適用できる法則です。
腕が押されるということはその分だけ何かを押すことです。

腕は体幹を押し結果的に体幹は地面を押すことになります。
間接的にですが腕で地面を押しています。

⑤腕が推進

骨格を押した腕が推進を開始。

手打ち打法は腕力を起点として拳を加速させる打法ですので、骨格立ちしたら腕力のみに頼ります。
それが地面を押し体幹の反射的動作を起動するからです。

手打ちによる始動が全身を連鎖的に動かすという長濱説

⑥床反力が発生

手打ち意識により肩腕と背中の筋肉は収縮を続け、蹴り足からその床反力をもらい続けます。
この床反力がハムケツを刺激し続けます。
その刺激に呼応してハムケツは筋力を発揮。

⑦ハムケツの伸張反射により股関節伸展

大腿骨に付着したハムケツのSSCが起こり強力に股関節が伸展します。

SSCは強力な筋収縮を起こし身体能力を高める不随意による反射です。
SSCの上手さがスポーツの上手さです。

⑧奥脚に押されて骨盤が並進

ハムケツの収縮で大腿骨に押された骨盤が並進を開始。
手打ち意識による地面反力が床を押し続けるため力積が増大、骨盤へ加速度を与え続けます。

⑨軸脚接地の衝撃がブレーキ効果を起こす

軸脚が接地した瞬間に骨盤の並進運動が回転運動へ変化し、拳の加速が最終局面(運動連鎖)へ。
体幹の運動量を受け取った腕が衝突直前に猛烈に加速。

また手打ち意識による反作用は軸脚へ体重移動が起こった後も続くため、軸脚から押され続けた骨盤の強力な回転力が腕を押し続けます。
衝突後も腕力により拳が押し込まれ、衝撃が突き抜けていきます。

以上、手打ちが圧倒的な加速を生み出す原理でした。

以下関連記事と関連ツイートです。

手打ちで拳を凶器に

股関節おじさんの原始的加速意識
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僕みたいに尋常ならざる数学や力学に関する興味がないと読み進めることはできません。
でもこれより身の回りの現象を合理的に説明する方法はありません。

Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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コメント

  1. 石花江雪 より:

    はじめまして。石花江雪(ロックバランシングの活動名)と申します。最近、長濱さんのyoutubeにハマっています。興味深い動画ありがとうございます。年齢61歳 ボクシング歴8年 岐阜ヨコゼキジム→岐阜薮田ジム 年寄りですので、いかに楽をしてボクシングをそれなりに楽しむかを目的に日々身体技法を研究しています。古武術研究家の甲野善紀氏、「究極の身体」の高岡英夫氏などの考え方も参考にしています。
    長濱さんのyoutubeを拝見していままでバラバラだった知識が繋がりました。ありがとうございます。
    ところでナジーム・ハメドのパンチについての考察をなにかの機会にお話頂けると幸いです。ハメドの動きは別として、パンチそのものは参考にしています。

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