ドネアとロマの試合がありました。
ドネアもロマも強すぎる。
その一つに「脱力」というキーワードが挙げられます。
なぜ脱力が大切なのか?の前に脱力を生み出す背景を考察していきます。
ガバリョ24勝(20KO)。コミー30勝(27KO)。
どちらの相手もハードパンチャーでした。普通、ハードパンチャーが相手となると警戒心からいやでも体が力みます。
どうしても動きがギクシャクしてパンチの伸びと切れ味を失います。
しかし、ドネアにもロマにも余裕を感じました。
恐らく脱力を実現する最大の理由は「経験」です。
そしてそれは無視されがちな、しかし巨大な強さの源泉でもあります。
「経験」と呼ばれる巨大な強さの源泉
ドネア
42勝6敗。
この中にはギレルモ・リゴンドー、井上尚弥、ノルディーヌ・ウバーリ、ライアン・バーネット、カール・フランプトン、ニコラス・ウォータース、ビック・タルチニアン、西岡利晃。挙げれば切りがないほど。当時の名王者と呼ばれるような選手は当然のこと、歴史的にも名王者と呼ばれる可能性を秘めた選手達と戦っています。
ドネアがいまさらボクシングで慌てることはありません。
何が起きても「なるほど、それ知っているよ。」となるから動揺しないんです。
井上選手のパンチを受けても、目の前であれだけスピードで煽られても冷静に一発を狙い続けられたのは、ドネアがそれらを経験済み、対処できることを知っていたからです。
ギレルモ・リゴンドーのスキルとスピード、ニコラス・ウォータース、カール・フランプトン、ダルチニアンのパワーを経験していました。
井上戦が終わるまで、みんなドネアが簡単にやられると言っていました。
しかし、僕はドネアの経験は侮れない。むしろ危険だとすら感じていました。
39歳のドネアの快進撃を見るに、「経験」は今まで以上に選手の評価の要素として重要視されるべきでは?と考えるようになりました。
ロマチェンコ
ロマのアマ戦績は一説には396勝1敗とも言われています。
オリンピック二連覇という実績からもわかる通り、世界大会レベルで連戦連勝しているってことなんです。
ロマのデータベースに記録されていないボクシングは稀です。
ただ、サリドの喧嘩殺法、ロペスのパワーとスピードの相乗効果は未体験ゾーンでした。
未経験のことにロマの脳みそが混乱したことは間違いないと思います。
ロマのデータベースには並みの世界チャンピオンであれば「特に驚くことはない、普通」と感じてしまう程度にはデータが圧縮されて保存されています。
経験済みのことには驚かない。
これがドネアとロマの強みであり、巨大な強さの源泉になっています。
実践経験の豊富さがアマ選手が有利になる理由であり、強くなる最短コースの一つに実戦経験を多く積むことが考えられます。
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