「運動音痴」あまりいい響きではありませんよね。
ちょっと小ばかにしたような言い方です。
中学生まではどれだけスポーツが上手いかがスクールカーストを決めるので、運動ができないと辛い。
今回は運動音痴について僕の考え方をお話しします。
とはいっても繰り返しではあります。
そうです。原因は股関節の機能不全です。
股関節の機能不全の代償
僕は運動のできる人、そうではない人の動きを観察して気がつくことがありました。
それは「骨盤の運動量の違い」です。
運動ができる人は骨盤がよく動くんです。
回転や上下左右への並進。
ダンスが上手い人ってスポーツもできるイメージありませんか?
僕にはありました。
それはどうしてかというと骨盤の可動性が高いからだと結論しています。
スポーツの上手い下手にはもちろんいろんな要因があるはずですが、最も影響が大きいと考えています。
何故なら骨盤は上半身と直結していて、内臓を支えることができるほど大きく強く、そして重い部位だからです。
最大の位置エネルギーの貯蔵庫で全身に影響を与える骨格の構造なんです。
動きがぎこちないのは何故?
質量のある骨盤が強く動かせないとダイナミックな動きができないので力強く動けません。
骨盤で身体を強く動かせないと上半身の力に頼ろうとします。
力の源は地面です。
上半身をいくら強く動かしても下半身が弱いか安定していなければ大きな力は生み出せません。
本人は強く動いているつもりでも、傍からみると力感だけで実際にはギクシャクします。
骨盤の運動量を上半身で補おうとするから力んでしまいます。
元々少ない地面反力に力みの力が干渉してさらに弱まります。
するともっと力を出そうとして、さらに上半身が力んでしまってもっとギクシャクしてしまいます。
僕はこの悪循環が運動が苦手な人の原因だと考えています。
逆に運動が得意な人は骨盤が動かせる好循環によって運動が上達すればするほど不必要な力が抜けてリラックスしていきます。
結果に働きかける弊害
骨盤を動かすのは股関節です。
股関節が使えないことによるエネルギー不足を上半身で補おうとするので本来なら必要のない無駄な動作が現れ始めます。
それを見た指導者や本人がそれを改善しようと、エネルギーの不足を補っていた動作を直接取り除こうとします。
結果からのアプローチ。これが問題解決において僕が一番悪いことだと感じていることです。
エネルギーが足りないのを補うための動作を取り除けば、当然再びエネルギー不足陥ります。
いわゆる悪癖として表面に現れていた動作は、本来は股関節による骨盤操作の代替物だったわけですから、ある程度のエネルギーが確保できる動作であったはずです。
股関節ほどでないにしても大きなエネルギーを持っていた部位が動いていたはずなんです。
それを禁じたことにより、より深刻になってしまったエネルギー不足を補う動作は複数になってしまうかもしれないんです。
運動が苦手な人の動きは股関節の機能不全を補う無駄な代償動作が多く、上半身のどこもかしこも力んでいて動かす必要のない関節まで使おうとしているように僕の目には映ります。
例えばパンチでは首の回転で頭部を動かしたり、反対側の腕を後ろに引いて肩をまわしたり、上半身を前傾させたりして運動エネルギーを調達しています。
股関節が強ければ腕は股関節から受け取るエネルギーだけで十分なので、脱力したまま推進します。
しかし、股関節からのエネルギーが不足している場合、首や肩、背骨など色んな関節からエネルギーを調達しなければなりません。
もしここで「首を回すな」「腕を引くな」「前傾するな」と指導されたり、または本人が意識的に自らそれらを取り除こうとした場合、エネルギーが足らないので腕が伸び切りません。
キレが出ません。
今回の例は極端でしたが、似たようなことが運動が苦手な人には起こっていると思います。
問題の結果から解決を図ろうとすると失敗するどころか悪化します。
悪癖を改善する
無駄な動きを減らすためには骨盤のエネルギーを利用できなければなりません。
つまり骨盤に連結される股関節が使える必要があります。
もし股関節の機能不全の代償動作を長年続けていた場合、その悪癖は脳の神経回路に焼き付けられます。
股関節を使おうとしても先にそのニューロン回路が発火するので使うことができません。
だからまずは脳が忘れられてしまった動きを強制的に思い出させる必要があります。
人間の脳は効率的な動きを自動的に記憶するシステムがあります。
繰り返し繰り返し効率的な動作を実践すると元々使っていた回路を迂回させることができます。
運動が苦手な人こそ以下の記事のエクササイズを実践してください。
僕が指導する運動が苦手な方たちに実践してもらって特に効果的だった動きに絞っています。
他にも臀部と裏腿を使った「デッドリフト」も効果的だと最近感じています。
股関節の強い伸展と正しい屈曲の練習に適しています。
また別の機会にやり方はご紹介します。
最後に、因果関係を考えて問題の原因を探してください。
結果へ働きかけると悪化します。
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