P4Pファイターは何故動きが速いか。
その理由として最初にプラスを考えてしまいがちです。
『人より優れた遺伝子を持っている』とかですね。
でも実際には無駄が少ない場合が多いと僕は考えています。
熟練した選手ほどパンチにおける力のロスもディフェンスにおける無駄な動作も小さくなっていきます。
だから速い。
慌ただしい速さではなく、無駄を省いた動きに起因した速さです。
もっと言うと、無駄のない同時並行処理です。
P4Pは同時に複数の処理をこなしています。
これができるから無駄な体力を消耗しない、速いのに12ラウンド疲れない。
まあ、そんなことはボクシングを見て居れば分かりますね。
少しだけ進んだ視点で同時並行処理を見ていきたいと思います。
パワーポジション
パワーポジションって言うのはテニスとかでサーブを受ける場面、野球で守備側の選手が打球に備える場面、バスケットボールやサッカーの1on1の場面で股関節と膝関節をやや屈曲させる姿勢のことです。
ハーフスクワットよりフルボトムスクワットの方が大変なように関節は角度によって実は筋力が大きく異なります。
パワーポジションは股関節周辺の筋力が最大になる、また次の動作に瞬時に移れるような姿勢です。
これがスポーツにおける強く速い動作の基本姿勢になります。
ボクシングだと強いパンチを打とうとすると無意識に実は股関節と膝関節が屈曲します。
筋の出力を上げようとすると無意識にこの動作を行うとするんです。
人それぞれ得手不得手があるように、この動作が苦手な人もいます。
僕は苦手な方だと思います。
でも、これはただの動作なので練習で改善できるはずです。
ロペス選手がコミー選手をKOしようとする場面です。
この時、比較的腰が高い状態になっています。
この場面では姿勢を低くして股関節と膝関節をやや屈曲させます。
『パワーポジション』です。
姿勢のリロード(修正)
僕はかっこいい言葉を使うのが好きなので、姿勢を直してパワーポジションを作り直すことをリロードとしておきます。
実践においてはかっこいい言葉を当てはめることで、「脳にそれをやりたくさせる効果」と「試合やスパーリングで瞬時に思考を完結する効果」を期待しています。
「姿勢が~」より「リロード」で思考を完結させられます
P4Pファイターはリロードをパンチやディフェンスと同時に行っています。
今回は例としてワシル・ロマチェンコ選手を取り上げます。
同時並行処理
打ちながらリロード
アッパーを打つ場面。
打つ瞬間には股関節に貯蔵した弾性エネルギーを一気に運動エネルギーへ変換します。
股関節が伸展されて姿勢が伸びあがります。
打ち終わりと同時にリロードしてパワーポジション。
股関節を屈曲して、すぐに次の動作に備えます。
ロマチェンコ選手は速いのに慌ただしさはありません。
自然です。
動作の終わりからリロードまでが自然で無駄な力を使わないので次の一手が速いんです。
さらに、がむしゃらなスピードじゃないから相手は読めません。
対応が遅れてしまいます。
避けながらリロード
避ける動作とパンチのリロード同時に行われています。
避けながらパワーポジションを作るので高速です。
速いのに慌ただしさがないので相手は対応が遅れます。
僕がジムの選手を観察して思うのは、『避ける→打つ』までが分離されていることです。
リズムが『タンタン』でとぎれとぎれです。
僕はこれをつなげるようにしています。
『タタン』
その為には避けながらリロードする必要があります。
カウンターに限らず『タンタンタン』というリズムは相手が熟練していると対応されます。
対応できないリズムは『タタタン』です。
PFPファイターのリズムは『タタタン』です。
コンビネーションもカウンターもです。
でもこれは実践する難易度が半端じゃありません。
避けながら、パンチを打ちながら常にリロードする必要があります。
ただリズムだけ実現しようとすると、手打ちになって効果が薄くなってしまいます。
まとめ
動作の直前のパワーポジションと直後のリロードがスピードの基礎。
リズムは『タタタン』。
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