PFPに学ぶボクシングの必須要素 選択と集中

戦略選手分析

PFP分析です。
今回もPFPファイターを俯瞰しボクシングにおいて重要な側面を分析してみようと思います。

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プラスが多いんじゃないマイナスが少ない

PFPのパンチとディフェンス。
なんだか特別な何かを与えられて生まれてきたとも思えるほど優れて見えますよね。
だけど、実際にはそうではないと、運動生理学や生体力学において無駄のない理想的な動きをしているんだと僕は考えています。

確かにプラスもあるはずです。
だけど、一番の要因はマイナスが少ないことです。

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パンチの動作、ディフェンスの動作でロスがない。
動きの効率がいい。
戦略に無駄がなく矛盾していない。
だから速い、だから強い。

僕はPFPを観察する内にそんな風に感じるようになったんです。

スキルの取捨選択

コンビネーションを使わなくなったカネロ・アルバレス

僕が知っている少し前のカネロ・アルバレス選手はコンビネーションパンチャーでした。
元々カウンターは巧みだったし、ヘッドムーブメントはずっと抜けています。

でも最近のアルバレス選手のイメージはその時のイメージとは異なります。

コンビネーションを打つイメージはなく、フェイントで攪乱して一発を狙うスラッガーという感じなんですよね。
普通はボクシングでは「コンビネーションを打て!とにかく打て!」って教えられます。
でも、それは間違いで戦略との親和性が最重要だと僕は思っています。
このブログでも自分でも呆れるほど述べていますが、戦略と戦術が矛盾していたら勝てません。
リスクを抑えてヒット数で勝ちたい選手が、コンビネーションばっかり打ってたら馬鹿です。

で、アルバレスはコンビネーションを打てなくなったんではなくて、打つ必要がなくなったんだと思うんです。
カウンターで相手の駒を落としていき、フェイントとパワーで脅かしてロープへ追い詰める。
そしてフェイントで攪乱してズドン。
一発で効かせられるパワーを手に入れた(意味深)からコンビネーションを打たなくても目的を達成できる。
スタミナの浪費せず、リスクも抑えられる。

ゴロフキンⅡとコバレフ戦ではそんな風に感じました。

強打を打たないワシル・ロマチェンコ

上のリンクでもロマチェンコ選手の戦略について少しだけ触れましたが、ロマチェンコ選手にとってフットワークを損なう可能性のある強打はリスクなんだと思います。

ミスしない(リスクを回避)するために無駄を省いて磨かれたスタイルだと僕は感じるんです。

ロマチェンコ選手はカウンターも戦略に組み込んでいますが、アルバレス選手とは違います。
強く打たず、どちらかと言えば相手の動きを封じる(止める)目的で使われているように見えます。

そうやって相手の動きを止めて連打。
すぐに相手の死角へ移動して安全を担保しています。
なんというかロマチェンコ選手は安全な相手の死角を奪うために基本的に強打を打たない、そんな風に見えるんです。

アンソニー・クロラ戦ではビビッて手を出さず守りを固めるクロラ選手を明らかに強打を使って仕留めました。

完成されたワンパターン、ゲンナディ・ゴロフキン

ゴロフキン選手はPFPでも特に得意なパターンを多用します。
強いジャブを当てて相手のバランスを崩して右のフック。
これで相手をなぎ倒してきました。
完成されたワンパターンです。

分かっていても防げない。
そんな戦略を持っているんだと思うんです。

欲張らない、無駄を捨てる

色んな事ができるってことは、別の見方をすれば迷いを生むことだと僕は感じています。
「カウンターする?」「打ち合う?」「クリンチする?」
PFPファイターレベルの戦いにおいては迷っている余裕はありません。
瞬時に判断して実行しなければならないはずです。

そのために迷いを生む戦術はあえて放棄する。
これも必要になると思っています。
やることが予め決まっているからこそ、PFPファイターの判断は迅速なんだと思うんです。

何故こう思うかと言えば、僕がそうやって失敗してきたからです。
あれもこれも。
僕が腕を磨いて、欲張って。集めてしまったのは迷いだったんです。

勝負とは自分の土俵へ相手を引きずり込むこと

PFPファイターは相手を自分の土俵に引きずり込みます。
相手が自分の土俵を避けて通ろうとしたとしても引きずり込めるだけの用意があるはずなんです。

反応戦略』です。

相手に合わせて例えば「アウトボクシング」「インファイト」みたいな色んな戦い方を用意しているんじゃないと思います。
自分の土俵に引きずり込むための『反応戦略』を持っているんだと思います。
戦い方を相手に合わせて変えるんじゃなくて、相手を自分の土俵に引きずり込む為の罠を張る。

まとめ

色んな戦い方ができることも重要だとは思いますが、やっぱり一番は相手を自分の土俵に引きずり込む計画を持つことなんだと感じています。
PFPファイターの戦い方が本当にシンプルだからです。

今回はPFPファイターを俯瞰してボクシングにおいて重要な要素を分析してみました。
戦略に適合した最適な戦術で武装し、『選択と集中』によって無駄を排除すること
大切なのは相手によって戦い方を変えるのではなく、『選択と集中』により相手を自分の土俵に引きずり込むこと

誤解しないでほしいのは、上記の例に挙げた選手達が最初から今のスタイルを目指してきたと言いたいのではありません。
ボクシング界の淘汰を勝ち抜いたスタイルには無駄がないと言いたいんです。

そして決してできることが少ないと言っているのではなく、「色んな事ができるはずなのにあえてやらない」と言いたいんです。
ロマチェンコ選手は強いパンチも打てると思うし、アルバレス選手もコンビネーションが打てなくなったわけではないはずです。

戦略を遂行する為に要らないんだと思います。
そう考えて実行していないにしても、人間の脳は無意識に動きを効率化するようにできています。
色んな試行錯誤を経た結果、無意識が無駄を削いで今のスタイルになったではないかと思っています。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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